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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第1章 始まり【共通物語】


「……この近藤勇、一生の不覚!まさか、まさか君達が女子だったとは!!」

どうやら近藤さんは気付いていなかったようだ。
その様子に、どうやら千鶴はほっとしていたようだが私はなんとも言えない気分だった。

(こんなにも分かりやすい男装なのに……)

だが、分からない人は分からないのだろう。
近藤さんはもしかさて騙されやすい人なのかもしれない……なんて考えてしまった。

「命を賭けられる理由があるんなら、誤魔化さずに全部吐け。……いいな?」

土方さんの真っ直ぐな眼差しを見返して、私と千鶴は小さく頷いた。
そして、私たちはまたあの幹部の人たちが集まっていた広間に来て、囲まれる事になった。

「少年にしては華奢で可愛らしい顔をしていると思っていたんだが、まさか本当に女子だったとはなあ……」

近藤さんは妙に感じ入った様子でうんうんと何度も頷いている。
可愛らしいと言われるのは、少しだけこそばゆいしなんとも言えない気分になってしまう。

「ああ。女だって聞いてから見ると、女にしか見えなくなってくるんだよなあ」
「しかし、女の子たちを一晩縄で縛っておくとは、悪いことをしたねえ」
「でもよ、女だ女だって言うが、別に証拠はないんだろ?」
「しょ、証拠と言われても……」
「何を、証拠にすれば……」
「証拠も何も一目瞭然だろうが。何なら脱がせてみるか?」

原田さんの言葉に近藤さんは一気に目を見開かせ、言葉を荒ぶらせた。

「許さん、許さんぞ!衆目の中、女子たちに肌をさらせるなど言語道断!!」
「だがまあ、それが一番手っ取り早いと思ったんだが……無理にとは言わないがな」
「……でもよ、本当に女だって言うなら、殺しちまうのも忍びねえよな……」
「何甘い事言ってるんだ。男だろうが女だろうが、性別の違いは生かす理由にならねえだろ」
「もっともです。ですが、女性にかぎらず、そもそも人を殺すのは忍びないことですよ。京の治安を守るために組織された私たちが、無益な殺生をするわけにはいきません」
「結局、女の子だろうが男の子だろうが、京の平安を乱しかねないなら話は別ですよね」

新選組はもともと評判はよくない。
なのに、血に狂った隊士がいるだなんて事が広まれば評判が悪くなる以前にとんでもない事になるだろう。
活動もしにくくなって、京の治安を守る人がいなくなれば京の治安が乱れてしまうだろうし。
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