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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


そんな彼らを見ながら、私はそろそろ土方さんの様子を見に行かないと思った。
土方さんはお仕事をされる間、休憩をなかなか取られないので様子を見ては、休憩させたりとしている。

「千鶴。私、土方さんの所にお茶を届けに行ってくるね。休んでいなかったら、休ませなきゃいけないし」
「うん、分かった。行ってらっしゃい」

私は麦湯を用意する為に勝手場に入れば、そこには井上さんの姿があった。
今日の炊事当番である井上さんは、どうやら夕餉の下準備をしているみたい。

「井上さん、こんにちは」
「おや、雪村君。どうしたんだい?」
「土方さんにお茶を煎れて届けようと思いまして。それと、ちゃんと休憩されているかを見るために」
「ははは!すっかり小姓が身についたねえ」

私は麦湯を煎れてから、井上さんに挨拶をしてから土方さんの元へと向かう。
麦湯と共に、落雁をお茶請けにとお盆に乗せながら廊下を歩いている時であった。

廊下の向こう側から、伊東さんと三木さんが歩いてきていた。
最近、よく勉強会を開いている彼は、ますます幹部の方々から嫌な目で見られている。
そして、私は土方さんからなるべく彼らに関わらないようにと言われていた。

「あら、千尋君。ごきげんよう」
「……こんにちは、伊東さん、三木さん」
「もしかして、今から土方君の元に行くのかしら?」
「はい……。伊東さん達は……」
「勉強会を今から開こうと思ってね。貴方も、時間がある時はいらして。歓迎するから」
「は、はい……」

また誘われてしまったが、行くつもりはない。
そう思いながらも、歩いて行った伊東さんたちの背中を見送ってから、土方さんの部屋の前に辿り着いた。

「土方さん、雪村です」
「ああ、入れ」
「失礼します」

お部屋に入れば、相変わらず土方さんは机で書類仕事をされていた。

「……休憩は、されていませんよね。知ってましたが」
「よく分かってるな」
「よく分かってるな……じゃないですから!麦湯とお茶請けの落雁をお持ちしたので、休まれてください!」
「……はあ。わかった、わかった」
「お返事は一回でお願いします」

土方さんはうんざりとした様子で筆を置くと、湯呑みを手すると一口だけ飲む。
そして息を吐きながらも、眉間を揉んでいた。

「お前はなんでこうも、口煩せえんだか……」
「もうそれ、聞き飽きました……」
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