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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


そして、近藤さんは相馬さんの言葉を聞くと少しだけ真剣な表情を浮かべて、彼へと質問を投げかける。

「相馬君。ひとつだけ聞かせてほしい。君は【武士】とはなんだと思う?」
「残念ながら……。若輩者の俺には、まだわかりません。ですが、この新選組でなら、その答えが見出せる気がするんです」
「……ああ、その通りだとも。俺たちもまだ答えが見つけられていない。誠の武士の道は未だに見えず。だからこそ、歩み続けているんだ」

相馬さんの言葉に、近藤さんは笑顔を浮かべながら言葉をかける。
そして、小さく笑いながら土方さんと斎藤さんを見てから軽く頷き合った。

「いいだろう。新選組局長として君の入隊を認めよう!」
「ほ、本当ですか!?」
「ただし、近藤さんが目をかけたからといって甘やかすつもりはねえからな」
「ついて来る気があるならば、己の足でついて来い。いずれあんたが、俺たちの隣に並べるような存在になる日まで」

相馬さんは嬉しげに、そして言葉を噛み締めるように拳を握っていた。
ふと、隣を見ていれば千鶴はそんな彼を見ながら目を細めて自分のことのように微笑んでいる。

どこか嬉しそう。
そんな千鶴を見ていれば、斎藤さんが千鶴の様子に気が付いて声をかけてきた。

「……どうした雪村姉……じゃないな。雪村兄。何か言いたいことでもあるのか?」

斎藤さんは、【姉】と言いかけてから直ぐに言い直していた。
そんな斎藤さんに千鶴は笑みを浮かべる。

「いえ、よかったなと思ったんです」
「相馬が新選組入りしたことがか?」
「はい。自分を必要としてくれる場所にいるのは、きっと幸せなことだと思いますから……」

千鶴の言葉は、相馬さんの入隊を自分のように喜んでいるようだった。
そんな彼女を見て、少しだけ胸がもやっとしてしまう。

「それじゃ、まずは一般の隊士扱いからやってもらうことにするか」
「俺の三番組でも構いませんが……」

土方さんと斎藤さんが、相馬さんの配属先を考えている時だった。
話を聞いていた近藤さんが首を横に振ってから、笑みを浮かべている。

「……いや、もう既に決めている。彼は俺の小姓見習いとしよう!俺の側で、武士とは何かを是非見つけてくれ!」
「はい!頑張ります!」

相馬さんの返事を聞いて、近藤さんは嬉しげに笑っていたと思えば、私と千鶴へと視線を向けてきた。
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