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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


確かに、土方さんから見たら私は子供だ。
だけど子供と呼ばれる歳はもう少しで過ぎるのだから、子供扱いされるのはあまり好きじゃない。
そう思っていれば、土方さんが表情を渋くさせていた。

「羅刹は人間が触れていい代物じゃねえのはわかってる。だが変若水は……新選組の切り札になるかもしれねえもんなんだ」
「……切り札に」
「もちろん最後の手段だ。汎用できるもんじゃねえよ」

土方さんの表情は徐々に、苦しげに歪んでいた。

「少し話しすぎちまったな。今夜のことは他言無用だ。余計なことをすりゃ、今度こそおまえだけじゃなくて、姉の方だって立場が危うくなる」
「……はい」
「さっさと部屋に戻れ。他の連中に見つかるなよ」
「分かりました」
「それから……。外を歩くときは、必ず、人の有無には気をつけろ。あと、さっきも言ったがあまり追い込むなよ。追い込みすぎても良いことは起きらねえ」

なんだかんだ、彼はよく気にかけてくれる。
その事は嬉しいけれど、土方さんだって自分を追い込んでいるような気がした。

自分にしかできない仕事だから、他人には任せれないと言って仕事を休もうとしない。
そして、山南さんの事だってどこか自分を責めているような気がした。

「土方さんも、あまり自分を追い込まないようにしてください」
「あ?」
「お仕事だって、自分を追い込むほどにされたり……山南さんの事も気に病むような事をあまりされないでください。たまに、見ている方が辛くなる時があります」

人を頼らない、弱音を吐かない。
土方さんは厳しい人だが、自分にも厳しい人だとわかる時があった。
その姿は時折、見ている私まで辛くなってしまうぐらいに。

「……追い込んじゃいねえよ。ただ、やらなきゃならねえ事が多いんだ。俺が、しなきゃならねえ事がな」
「……それが、追い込んでいるんです。相変わらず、ちゃんと休憩されずにお仕事されてますし。あれほど、お身体を壊すから、時折休憩してくださいと言っているのに」
「わかった、わかった!たく、おまえは本当に小言を言ってきやがって……。嫁に行った時に、旦那に呆れられちまうぞ」
「嫁……」

お嫁に行く事なんて、考えたことがなかった。
今は父様の事とかで、頭がいっぱいになっていたのでその考えに行く着くことがなかったのだ。

「はあ……長く話し込んじまったな」
「そう、ですね」
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