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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第7章 混沌【土方歳三編】


この男、何かを探っているのかもしれない。
そう思った私は、風間千景を警戒しながらも、何を探ろうとしているのか聞こうとした時だ。

「敵地に単独で忍び入るか。俺たちもなめられたもんだぜ」
「土方さん!」
「昼間っから何しに来やがった?女を口説くには、まだ早い時間だぜ」
「こいつに近づくんじゃねえ!」
「原田さん……、平助君も!」
「皆さん……」

何時の間にか、私たちの背後には土方さんと原田さんに平助君が姿を現していた。
そして、土方さんはゆっくりと風間千景の方へと近づいて行く。

「庭掃除にしちゃ、切羽詰まった声が聞こえたからな」
「千鶴、千尋、大丈夫か?怪我してねえか?」
「うん……、大丈夫」
「私たちは平気だよ、平助君」

すると、風間千景はまた鼻で笑う。

「そうして群れる様は、犬猫の如くーーだな」
「……ほざいてやがれ」

一触即発の状態であり、重い空気か流れていく。
土方さんは少しずつ、警戒するように風間さんへと近づいていた。
そんな時、風間千景が重い空気を変えたのでる。

「遊んで欲しければ相手をしてやらぬでもないが……。生憎今日は、用事を済ませに来ただけだ。それから……、これは忠告だ」

先程まで、ニヒルな笑みを浮かべていた風間千景だったが、直ぐに真面目な表情へと変わる。
そして、土方さんを見ると機嫌悪そうに言葉を吐いた。

「ただの人間を、鬼に作り変えるのはやめておけ」
「……鬼に……」

風間千景の言葉に、僅かに目を見開かせた。
恐らくだが、風間千景の言っているのはもしかしたら【変若水】の事なのかもしれない。
だが、もしそれが【変若水】の事だとして、なぜこの男が知っているのだろうーー。

私と千鶴が困惑している中で、土方さんは同様する事もなく風間千景を睨み付けていた。
僅かに殺意が込められた瞳で。

「てめえには関係ねえ」
「おう。白昼堂々と女たちを襲うような、下衆の言い分なんざ聞く耳持たねえな」
「……この俺が情けをかけて忠告してやっているというのに、分をわきまえずにいきり立つか。弱い犬ほどよく吠える、とはよく言ったものだな」
「ここはオレらの領分だ!御託を並べてないで、とっとと帰りやがれ!」
「……ふん」

風間千景はまるで興味を失ったかのように、土方さん達から視線を外した。
そして、風間千景の視線は私と千鶴へと向けられる。
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