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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第1章 始まり【共通物語】


「……けどよ、こればっかりは大義のためにも内密にしなきゃなんねぇことだよな。新選組の隊士は血に狂ってるなんてうわさが立ちゃあ、俺らの隊務にだって支障が出るぜ」

永倉さんの言葉は正しいのだろう。
土方さんの表情は一段と険しくなり、そして永倉さんの言葉で私たちはまた危険な方向へと向かっている。
もし、土方さんが『それもそうだな』と言ってしまえば……。

「おい、言葉を慎め。俺は【士道に背いた隊士を粛清した】と言ったはずだぞ」
「でもまあ、どっちみち見たことは変わらないんですけどね」
「総司の意見にも一理あると思うが、……ま、俺は土方さんや近藤さんの決定に従う」
「……オレは、逃がしてやってもいいと思う。こいつらは別に、あいつらが血に狂った理由を知っちまったわけでもないんだしさ」
「……血に狂う、理由……?」

千鶴が言った言葉に、一斉に彼らの表情が厳しくなっていく。
どうやら、また聞いてはいけないことを聞いてしまったようだ。

「平助。……余計な情報をくれてやるな」
「……っと、ああ、悪い」
「あーあ。これでますます、君たちの無罪放免が難しくなっちゃったね」

藤堂さんは良かれと思って言ってくたれたのだろう。
でも、彼の言葉で無罪放免とはならなくなってしまった。

どうすれば良いのだろうか。
ここで、『何も聞いてません』と言っても通用はしないだろう。

「男子たるもの、死ぬ覚悟くらいできてんだろ?おまえたちも諦めて腹くくっちまいな」

永倉さんの言葉に、彼は私たちが男装している女ということが分かってないということに気が付いた。
見れば分かるぐらいには上手く男装出来ていないのに。

「確かに、潔く死ぬのも男の道だな。俺も若い頃は切腹したし」
「左之の場合、まだ生きてるけどな」

切腹して生きてるってどういう事なのだろうか。
気になってしまったが、聞ける状態ではないのでもやもやとしてしまう。

「副長。……結論も出ないことですし、一旦、この者たちを部屋に戻してはどうでしょうか?同席させた状態で誰かが機密を漏らせば、……処分も何も、殺す他なくなります」

確かにその通りだ。
現に先程、藤堂さんが漏らしてしまった訳だし、このままいれば私達が行きえ帰る可能性が消えてしまう。
斎藤さんの言葉は私たちにとってとても助かるものだった。
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