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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第5章 戦火【土方歳三編】


近藤さんの言う通り、昨夜も土方さんは夕餉を【要らない】と言って広間に来なかった。
なのであの時同様に、私は土方さんの部屋を訪ねたのである。


ーー昨夜ーー

『土方さん!また夕餉を食べずに!!』
『うるせえ、早く仕事を終わらせなきゃいけねえんだよ』

土方さんは私の方を見ずに、机に視線を向けながら書類仕事をされていた。
この間、ちゃんと食事はすると約束をしてくれたのに早速その約束を破ったのだ。

(ちゃんと食べると約束したのに……)

これは強行突破をするしかない。
そう思った私は、またおにぎりを掴むと土方さんの肩を掴んだ。

『おい、なんだ。今忙しいのが見えねえのか』
『忙しいのは分かってますが、ちゃんと食べてください!!』
『むごっ!?』


昨夜の事を思い出し、私は苦笑いをしながら近藤さんから視線を逸らす。
強行突破をして、おにぎりを突っ込んだ後は土方さんは不機嫌そうに残りのおにぎりとお味噌汁を平らげてくれた。

「君ぐらいだ、あのトシに強行突破でおにぎりを突っ込むのは。はは!」
「あはは……はは」
「だが、土産が要らないとすれば…他に俺が出来ることがあれば言ってくれ。できるだけ期待に沿おう」

あまり、無下に断るのも申し訳ない。
それに私の方がいつも近藤さんたちにお世話になっているから、不満もないと思いながら悩んだ。

暫く悩み、ふとある事を思い出した。
近藤さんは、試衛館道場というところと道場主をされていたということを。

「あの……でしたら近藤さんが出発される前に、稽古をつけてくださいませんか?」
「稽古?……君は、確か斎藤君に稽古をつけてもらっていたのではないか?」
「はい、ですか近藤さんにも是非稽古をつけてほしくて」
「だ、だが……俺の指導は荒っぽいからなあ。怪我でもさせたら綱道さんにも千鶴君にも申し訳が立たん!」
「そ、そうですか……」

怪我なら、斎藤さんの稽古で何度かしている。
でも、私の体質のせいで怪我はすぐに治るから怪我をしても平気だけど……。

「……しかし、ずいぶん唐突な頼みだが、何か理由でも?」
「私、もっと強くなりたいんです。千鶴を守りたいというのもありますが、近藤さんたちの留守を預かる者として、少しでも今以上に剣の腕を鍛えたくて」
「ふうむ……」

近藤さんは困ったように、少しだけ唸っていた。
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