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君ノ為蒼穹に願ふ【薄桜鬼真改】

第5章 戦火【土方歳三編】


「国事のためだ?おまえらはどうみたって、すっからしの浪人じゃねえか。それに、今、やってたことは、強請たかりだろうが!」

原田さんの様子を見た相馬さんが、焦った表情をしながら私たちの顔を見てくる。

「ちょっと……あんなことになってるが、いいのか?」
「あれは……その……」
「ええっと……」

相馬さんの言葉になんと答えよう。
そう思っていれば、お茶店の店主の方がおろおろとしながら浪士達と原田さんを交互に見ている。

「みなさん、申し訳ありません。店先ですので、ここは穏便に……」
「穏便に出て行け、だそうだ。お呼びじゃねえんだとよ、だんだら野郎」
「いい気になってるんじゃねえぞ。幕府の手先のくせに」

浪士たちの言葉に、原田さんは目を細めた。
怒りに近いような表情であり、浪士たちを見ている目はとてつもなく冷たい。

普段原田さんはあまり、あんな冷たい目をすることはない。
大らかな人であり、私や千鶴を見る目は暖かいが……私たちが屯所に来たばかりの時はあんな冷たい目をしていた事を思い出す。

「上等だ……ここまで馬鹿にされちゃ、大人しくこの場から立ち去れなくなっちまったぜ」

すると、原田さんは槍を手にするとその場で構えた。

「おまえら、まとめて俺が相手にしてやる!」
「おもしれえ。新選組がどれほどのもんか見せてもらおうか!」
「おいおい、俺たちゃなにもしてねえのに、刀を抜こうってのか?」
「新選組と知ってて喧嘩を売ったんだろ?なら、その喧嘩、買ってやるまでさ!ほら、掛かってこいよ!調子のいいのは口だけか?それとも、腰のものは重くてつかえねえってか?」

原田さんは浪士たちを挑発する。
すると、意図も簡単に浪士たちはその挑発に乗ってしまった。

「ふざけるな、新選組がなんだってんだ!やってやる!うおおおおお!!」
「てめえ、あとで後悔するなよ!」
「そんなもんするか!俺は、十番組組長、原田左之助だ!覚えておけ!」

まさかの乱闘が起きてしまった。
私と千鶴は唖然としていたが、横にいた相馬さんは慌てた表情で原田さんを見ている。

「な、何がどうなってるんだ?」
「えっと、その……どうやら捕り物が始まったようで」
「相馬さんは下がっていてください」
「まってくれ。規律が正しいのが、新選組なんじゃないのか!?」

そして、唖然としている相馬さんの目の前で捕り物が始まった。
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