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思いつき短編たち

第4章 SAYONARAベイベー-シャンクス@現代パロ



見えねぇ、と脱がれたフルフェイスのヘルメットから零れ落ちるのは赤銅色が艷やかな髪。
少し髪を散らして、ん〜?とカメラを覗き込む彼の頬にきっちりキスマーク。

「っあ~、そういや出る時に『またね』って」
口紅つけてたのかぁ、と呑気に指でテカテカしたそれを拭う。
「私、カラーリップはするけど、ルージュとグロスは嫌いなの」
ニッコリ笑顔で、見事な疾走、お世話様〜とくるり、踵を返す。

「あっおい!🌸っデートしねぇのかよっ!?」

ブツッ!と聞こえたのは、長年かけて、とうとう納豆の粘りよりも細くなった堪忍袋の尾が切れた音だった。

「っするかっ!!このっ万年発情浮気野郎〜!!」

渾身の投球フォームで男の顔面へと投擲したn回目の浮気による贖罪の品・LOEWEのブレスレットポーチは見事に浮気男のレッテルを貼られた一応の彼氏・シャンクスの顔面へ。
あぶねっ!と難なくそれをキャッチしたシャンクスはギョッとした顔でそのバッグを見つめる。

「おまっ、これ、何入れてんだよっ」
柔らかい素材で楕円形のそれを開いて、詰められていたタオルを取り出すとずしりと思い。
輪ゴムで止められたそれを脇から覗くと、ペットボトルキャップが見えた。

「水で解いた片栗粉」
「ばっ!タオル巻いたところで凶器じゃねぇか?!」
「衝動的だった。悪意はない」
「まんべんなく混ぜてペットボトルに移してるのは悪意だし、ご丁寧にタオルに巻いてバッグに詰めてる時点で衝動的なわけがねぇ!こんなん、死ぬぞ」

えっ?!と大袈裟に可愛らしく驚いてみせる。

「電話もメッセージも朝までガン無視、どうせクラブか飲み屋で声かけてきた女の子といちゃいちゃ♡ギシギシ♡あはーん♡な事して、デートにキスマーク残して遅刻してくるゲスなんて、生かしてていいと思う?裁判長っ!世の女の子のためにも死刑を求刑しますっ!あっ、やっぱりパイプカットで!この中に医者はいませんかー?獣医でも大丈夫ですっ!ケダモノなんでっわっぷ!」
「女が下品なことしてんじゃねぇ」

投げた鞄と入れ替えにリアトランクから出されたパールホワイトのヘルメットを被せられ、ひょいとタンデムシートに乗せられる。
赤い髪をかき揚げてヘルメットを装着すると、バイクに跨って喚く腕を腰にがっちりと巻きつけられる。

ジジッ、と耳元で聞こえたノイズに顔を顰めた。
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