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思いつき短編たち

第3章 九十九折-シャンクス@海賊



 ✜

「別にいいのに、」
「なにがだ?」

狭いベッドに身を寄せ合い、互いの体温で互いを温め合う二人。

「私一人とは思ってない」
「...長い航海の中で、女を抱いてないと言えば嘘になるが、いつも想ってるのはお前だけだ」
「...ふーん」
「信じてねぇなぁ!?」
ガバッ、と起き上がって片腕で覆いかぶさる。

「なんのために『これ』を贈ったと思ってんだ」

す、と撫でられる首のチョーカー。
濃紺のそれは、この島では伴侶のいる女性だけが身につけるものだった。
「私には、これが藍染のチョーカーかは確認できないもの」
ムッとした顔を見せるシャンクス。
「手に取った時、『藍染ね』って言い当てたじゃねぇか」
「そうだっけ?」
惚けて見せる🌸に、こんにゃろう、と優しくチョーカーを引く。

「なあ、🌸。また、海に出ねぇか?」
「またそれ?何度も言ってるでしょう?私の旅は、終わったの。後悔もしてないわ」
「俺はまだ満足してねぇ、🌸に感じさせたいものがまだまだある」
「こうして聞かせてくれるだけで十分よ」
「船が海の上を走る揺れや、海の潮風、波音。また感じたいと思わないか?」
それは、と言葉に詰まる🌸の髪を撫でる。

「明日、レッドフォースに乗ってみないか?走らせなくていい。海の上を感じさせたい」
「いいの?」
「当然だろ!」
決まりだ、と笑って布団に潜り込む。
「オーロ・ジャクソン号とどっちが大きいかしら?」
「乗って確かめてみろよ」
嬉しそうに🌸の胸元に顔を埋めるシャンクスの髪を撫でる。

「ねえ、」
「ん?」
「『船室を案内してる間に出港しちまうか』なんて、考えてないでしょうね?」
ピク、と動いた背中の手。
「考えてたのね」
「いや、うーん、あー、んー」
「相変わらず、嘘が下手ねぇ」
くすくす笑う小さな体の振動。

「島の周りをぐるっと回るだけならどうだ?」
「そのままどんどん離していって、『向こうの島を探検しよう』とか言い出すんでしょう?」
「そこまで読むなよぉ」
ボス、と枕に顔を埋めたシャンクスは、ゔー、と唸って足をバタつかせた。
「そうしてそのまま『船の冒険は楽しいだろ』って連れ出したいんでしょ?」
「本当に楽しいぞ?一回、一回だけ、また海に出よう?」
「ふふ。いやよ」
なんで、と項垂れる赤い髪を撫でる。
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