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思いつき短編たち

第3章 九十九折-シャンクス@海賊


「わかった、わーたから!おい!どこ、触ってんだっ!?」

ゲラゲラと笑い出す子どもたちの頭を雑に撫でると、よお、と彼女の隣に座る。
「迎えに来てくれねぇから、来ちまった」
ニッ、と笑う雰囲気に、パタリと本を閉じる。
「子どもたちが来てたから」
そうだったか、と勝手に膝の間に座ってくる子どもの頭を撫でる。

「シャンクスなのね?」
確認させて、と飛ばされた手の間に頬を寄せる。
「髭くらい、剃ったらいいのに」
ざらつく感触に、シャンクスだわ、と微笑む。
「これがなきゃ、🌸が俺だってわからないだろう?」
「ふふ、わかるよ。骨格、匂い、足音、雰囲気。あなたは特別だもの」
差しカサついた唇を親指で撫でる。

「ねー、『とくべつ』ってなぁにー?」
周りにいた子どもの一人が見上げてくる。
「んー?特別ってのはなぁ...他のものとは一緒にできない、とても...大切ってことだ」
「お頭は、🌸の特別?」
どうなんだ、と彼女に届かない目線を向けると、ええ、と微笑む。
「とっても、特別よ」
届かないと知りながらも熱く向けられる目線には、確かな愛情が乗っかっていた。

 ✜

コーン、コーン、と杖先でレンガを叩く音が通りに響く。
シャンクスの左側を歩く🌸は左手に杖、右手にシャンクスのシャツを掴みながら歩いている。
🌸の歩幅に合わせて歩くシャンクスは、愛おしげに低い位置の頭を見つめる。

「あ、🌸!」
バルの女主人が呼び止めた。
「後で寄りな!スープができてるよ」
「ありがとう」
合わない目線にも、いいんだよ!と笑い返す女主人。
「今回は長かったら、寝かせてもらえないだろう?」
夜街であることをいいことに、ニヤニヤと女主人は言った。

「やめてよ」
恥ずかしそうに頬に染める🌸を片腕で抱き寄せる。
「寝かせてほしいのか?」
そ、と手を伸ばしてシャンクスの頬に触れると、ニヤけてる、と合わない目線が鋭くなる。
「スケベなんだから」
「だぁはっはっはっ!🌸にだけさっ」
「港ごとに女の子がいるくせに」
「🌸が俺の船に乗ってくれるなら全部切る」
「否定はしないのね」
あ、と右手で口元を覆うシャンクスに、女主人はケタケタと笑った。

「こりゃ一本取られたね!お頭!」
やられた、と頭を掻くシャンクス。

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