第1章 好きと言わせたい
「何してんの?
こんな所で……」
「…え…いや…」
「……?」
「じ…実は…学校帰りにブラブラしてたら…
っち見かけて…」
「っ…!
……見かけたってっ…
…ど……どこで……?」
尾行していた事は隠して見かけたと話すとっちは明らかに動揺していて不安げな表情をして俺を見る。
っちの表情から、『誰にも知られたくない』
そんな気持ちが伝わるくらい今にも泣きそうな瞳で俺を見上げる姿に一瞬言葉を失う。
っちの事を思えば…俺が見た事って…
何も言わず…そっとしておいたほうが…
いいのかもしれないっスね………
でも……
俺は……
「っちが…大きな家に入っていくのを見て…
若い男と話しているのを見たっスけど…
一体…誰っスか…?」
「…っ…!
………ひ…人違いじゃないの?」
「人違いじゃないっスよ…
しかも……お嬢様って呼ばれてて…
どういうことっスか?」
「…っ………
そこまで…聞いていたの…」
っちは俺の言葉を最初は誤魔化そうとして目を泳がせていたけど、『お嬢様』という言葉を聞くと言葉に詰まり諦めたようにため息をつく。