第1章 好きと言わせたい
「デート…?」
「俺、今日の部活頑張るし、そのご褒美ってことで!」
「……デートは嫌だけど…一緒に遊びに行くぐらいなら…」
「っ…ほ…ほんとっスか?」
正直断られるって思ってたらっちは誘いをOKしてくれた。俺だけ怒られたことに罪悪感を感じただけかもしれないっスけど、っちと2人で出かけるのは久しぶりで、前にいつ一緒に出掛けたのかも覚えていない。
「約束っスよ!明日、9時にマンションまで迎えに行くから、待っててほしいっス!」
「…うん、わかった。その前に今日の部活頑張ってね。」
「30週でも50週でも走れるっスよ!」
「いや…やりすぎも良くないから…」
っちとのデートが待っていると思うと、断然やる気が上がり、授業中にっちと何処に行こうか考えたり妄想を膨らませていった。
その日の部活はいつもよりハードな内容だったにも関わらず、そつなくメニューをこなす俺を見て笠松先輩に珍しく褒められるる。っちとデートすることは伏せたままVサインを先輩に送ると「調子のんなっ!」とシバかれ外周を10週追加され悲鳴をあげた。
–––翌日
ハードな練習だったにも関わらず、俺は早朝に目を覚ました。
2人っきりで出かけるのは本当に久しぶりで、今日はたっぷりっちの事を楽しませて笑顔にさせたい。
「やっぱデートって言えば遊園地っスよね!えっと…デートの後は…saryu cafeに寄って…それから––」
昨日、帰ってから考えたデートプランを復唱しながら身支度の準備をする。今日選んだ服は、俺がモデルとして雑誌に掲載されている今トレンドのファッション。
ファンの子ならすぐメロメロになるっスけど…っちは普段と違う俺を見てどう思うか…
早くっちに会いたくて、約束した時間まで待ちきれず家を出て待ち合わせ30分前にマンションへと着いた。