第1章 好きと言わせたい
燕尾服の男が屋敷へと戻ったのを確認して、俺は再びっちの後を追いかけた。
「……やれやれ…
鼠に嗅ぎつかれるとは…
お嬢様もまだまだですね…」
黄瀬がを追いかける様子を桐生は庭越しに見ていてクスッと含み笑いを浮かべ屋敷へと戻っていく。
「………はぁ…」
……次は公園っスか…
っちがお嬢様って……
呼ばれてたのって……
でも…っちの苗字って…だし…
っちを追いかけると公園のブランコに乗りながら疲れたようなため息をついている姿を見て考え込む。
俺は何気なく…好奇心で、屋敷のあった地名と『如月』でスマホを使って検索してみた。
画面に映った検索結果に信じられず驚愕した。
『如月大財閥』
NYを中心に事業を広げている日本が代表する名家。
俺のスマホの検索結果には、さっき見た屋敷の写真が表示されており…
如月家の家系図に『っち』の名前が記載されていた。
「……えっ…マジ……」
パキッ
「……!
…涼太……?」
俺は驚き後退ると、地面に落ちている枯れ木の枝を踏んでしまい音を立ててしまう。
っちは音のする方に振り向いて俺に気がつきブランコから立ち上がる。