第1章 好きと言わせたい
翌朝
早朝の朝練に間に合うようにマンションを出ると涼太が待っていた。
「っ…!」
「あっ…っち!
おはようっす!
一緒に学校まで行かないっすか?」
涼太が待っていたことに驚き、身構え…涼太の目すら見れない私をよそにいつもと変わらない様子で私を出迎える。
「……おはよう…
悪いんだけど…1人で行きたい気分…」
「ほらほら…ブツブツ言ってないで…
走るっすよっ!」
「っ…ちょ…そっち…学校じゃないでしょっ!」
昨日のことがあり、私は涼太の誘いを断ろうとするといきなり手を掴まれ通学路とは違う方向へと走り出す。
私の制止も聞かずに走って連れられるまま早朝の海へとやってきた。
「っ…はぁっ…はぁっ…」
「あれ…ちょっとヒートアップし過ぎたっすか?」
「全然止まってくれないし…っ…
……っ…信号にも引っかからないし…
なんで…海になんか…っ…」
海に着く頃には、私は息が上がってしばらく話せる状態じゃなかった。
30分以上引っ張られるまま全速力で走り続けて近くのベンチで息を整えていた。
「っち……
やっと…俺見てくれたっすね。」
「…え?」
「っち…
俺のこと思いっきり警戒してたし…
一緒に走れば…
そういうわだかまり、なくなるかなって思って…」
「………」
涼太は、私の気持ちを見透かすように笑みを浮かべる。
距離を開けようと思っていたのに…涼太のペースに引き込まれてしまったみたいで再び昨日の話をするのか警戒していると涼太が言葉を続ける。