第7章 ライムを添えて ※
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「・・・えーっと・・・・・・丸音瑠愛、です」
声も名前もミモザと同じだ。
顔を見ようと試みるが、男の身体が邪魔をして髪しか見ることができない。
ハニートラップはやらせないようにしているから違うはず・・・・・・だが。
ただのナンパで密着されてんのか?
人の女に手を出しやがって。
──いや。
まだ俺の女ではないが・・・・・・いずれ、だ。
「男が寄ってきてますぜ。あれだけ綺麗に着飾っていたら目を惹きますよね。やはり言っていた通りだ・・・」
ウォッカの口から溢れた言葉を聞き逃さず、胸ぐらを掴んで責め立てる。
「どういうことだ」
「あっ・・・兄貴・・・・・・違うんです、これは・・・!」
「知っていることを全て吐け。アイツに何をやらせている」
「い、いや・・・ベルモットに言われやして・・・」
──アイツか。
俺からミモザを横取りした上、こんな所に連れて来やがって。
沸々と怒りが込み上げてきた。
そろそろ俺の元へ返してもらうぞ・・・。
奴らの背後に回ると、もう1人の男と談笑しているベルモットと目が合った。
この状況を楽しんでいる顔・・・ヘドが出るぜ。
「3秒以内にその汚ぇ手をどかせ。永遠に眠りたくなければな」
周りから見えないよう、ミモザを口説いている男の背中に銃口を向ける。
店内で騒ぎ立てることはしたくないが・・・引き金を引くのは男の動き次第だ。
腰だけでなく太腿にも触れられてるじゃねーか。
こんな奴、お前1人でも充分シメられるだろ。
隣にいるミモザも俺の声に気付いただろうに・・・横目で銃を確認するだけ。
「兄貴、コイツらどうしやす?」
「二度と俺たちの目の前に現れないよう始末しろ」
「ちょっ・・・ジン、これしまってください!始末って・・・私何もされてませんよ!」
男を庇うため慌てて俺を止めるミモザ。
何もされてないだと?
触れられてるだろーが。こんな薄い生地の上から。
「・・・殺しはしない。考えが甘いんだよ、お前は」
ウォッカが奴らを連れ去ったのを確認した後、ミモザの隣の席に腰掛ける。
普段よりも濃い化粧に揺れて輝いているピアス・・・そして黄色いドレスを身に付けているミモザは、今まで見てきた女の誰よりも美しかった。