第18章 裏切り者
「給湯室のコーヒーメーカーじゃなくて、わざわざカフェに来るなんて・・・。相当お気に入りなのね、グレース」
「えぇ。雰囲気も素敵だし最近ハマってるの。アイスコーヒーもとても美味しいのよ、コナンくん」
「わーい!楽しみだなぁ!」
────来た。
店内から賑やかな声が聞こえて。
休憩室の扉を開け、薄い隙間から覗いた。
グレースに扮したピンガ、グレースの同僚の直美、それと・・・・・・小学校1年生くらいの男の子が見えた。
眼鏡を掛けた可愛らしい男の子。
何故ここに子どもが?警察の家族だろうか。
家族だとしても仕事に・・・、しかもこんな場所に連れてくるだろうか。
それにあの子・・・・・・初めて見た感じがしない。
どこかで会ったことがある。
街ですれ違ったのか、登下校中の小学生集団の中にいたのか・・・。
いや、そんなに近くなかったはず。
確かあれは距離がかなり離れていた場所で・・・
そうだ。
ライフルを持った男性の隣に・・・いた・・・──?
「瑠愛さーん!休憩中ごめんなさい!グレースさんが来てるから出て・・・って、どうしたの?大丈夫?」
「わっ・・・あ、は、はい!すみません、大丈夫です・・・!」
1人固まっている所に先輩が呼びに来た。
扉の側で身を潜めているなんて、いかにも怪しい人物で顔が熱くなった。
店内に出る為、急いで髪や制服を整える。
もっと食べたかったな・・・と思いながら時計を確認すると、休憩時間はまだ半分残っていた。
スマホを見ても新たなメッセージはない。
え?グレースが来ているからお店に出る・・・?
「あの、先輩。私もう休憩上がった方がいいですか?」
「ん?あぁ!ごめんねー!違うのよ。グレースさんが、瑠愛さんに会いたいから呼んでほしいって。珍しいわよね!用があるのかしら?」
ちょっと顔出したら休憩に戻っていいからね!と、先輩は笑顔で店内へ戻った。
警察が来ているから隠れとけ、と連絡してきたピンガからの呼び出し。
打って変わって店に出てこいとは・・・。
でも、あの男の子のことも気になる。
深く深呼吸をしてからゆっくりと店内へ歩き出した。