第7章 ライムを添えて ※
2人の関係を聞きたい・・・聞きたいけど・・・・・・聞きたくない・・・────
もし今も続いているのだとしたら・・・
ジンが私にくれた言葉は、優しさは・・・一体何だったの?
断っても声をかけてくれた理由は?
私は純粋な気持ちで受け取ってしまったが、実際はただの遊びだった?
遊び相手なら何人いても不思議ではない。
・・・ジンは特に。
ただの性欲処理の相手が欲しくて優しくしていただけなのかな。
それを勝手に"特別"だと勘違いしてしまった・・・。
ジンのお気に入りだなんて自惚れて・・・本当に無様でしかない。
ベルモットにされるがまま、こんな派手な格好をして・・・"色あせぬ恋"だなんて・・・・
夢みたいなこと言っちゃって・・・バカみたい。
でも何故・・・遊び相手なのに抱かないの?
何故あんなに・・・愛おしそうに私を見るの?
「・・・・・・チッ。面倒臭ぇ誤解をしているようだな」
「・・・別に、してません」
「ねぇジン。マティーニは作ってくれないわけ?」
両隣に挟まれているこの息苦しい空間から早く抜け出したい。
「はあ・・・作るわけねぇだろ。俺はコイツと・・・ミモザと、ジンライムを作るんだよ」
・・・バカにするのもいい加減にして。
ジンとミモザを混ぜても・・・ジンライムはできない。
そうか、コードネームを"ライム"にしてもらえば良かったか。
ライムは果物だからコードネームにはならないのに。
子供じみた考えが心底嫌になる。
「あらそう、仕方ないわね。じゃあ・・・いじめちゃったお詫びにコレ、あげるわ。私からのクリスマスプレゼントよ」
ベルモットから差し出されたのは、ホテルのカードキー。
このホテルのキーのようだ。
いじめたって何?お詫びってどういうつもり?
「・・・お前らに世話を焼かれなくとも間に合っている。今後、余計なことはするな」
お前らって誰よ。ジンも知ってるの?
私だけ置いてけぼりにするのはやめてよ。
ちゃんと説明してよ・・・。
「ミモザ・・・・・・行くぞ」
「え、待っ・・・・・・!」
ジンに手を繋がれ有無を言わさず連れて行かれる。
振り向くとベルモットが「頑張って」とウインクをしていた────