第7章 ライムを添えて ※
「バーボンの次はスコッチか?俺の誘いをやたら断ると思っていたら・・・良いご身分だな」
ハッ・・・と鼻で笑うジンに「違う」と否定したかったが、誘いを断っていることや身体の痕のことをスコッチの前で言うわけにもいかず黙っていた。
「誤解ですよ。久々に会えたので世間話をしていただけです。な、ミモザ」
「は、はい・・・」
何も言わない私を見兼ねてスコッチがフォローをしてくれたが、正直波風を立てたくなかった。
ジンの機嫌を更に損ねそうだったから。
「フン・・・。おいスコッチ。お前とバーボンはまだ信用してねぇからな。下手な真似をしてみろ。2人まとめてあの世へ送ってやる」
スコッチを睨み脅しているジン。
まさか・・・その2人を疑っているとは思いもしなかった。
組織の仲間であろうと、ジンに目を付けられた人間は有無を言わさず殺されてしまう。
彼に気に入られている私でさえも・・・
NOCとバレたら殺されるのだろうか。
愛していると言ってくれた彼に軽蔑され、彼の手によって命を絶つ。
その時の私は組織に潜入したことを後悔するのか・・・それとも、ジンに殺されるなら本望だと涙を流すのか・・・──
「Hi!珍しい組み合わせじゃない。楽しそうね?」
「これのどこが楽しそうなんだ。お前の目は節穴か?ベルモット」
背後からベルモットとキールが現れ、ベルモットは私の肩を組むと顔を覗き込んで含み笑いをした。
・・・・・・何か企んでるな。
この綺麗な顔で見つめられると、女の私でもドキッとする。
しかし、彼女たちが来てくれて助かったかもしれない。
「スコッチ、今夜の任務のことで話したいんだけどちょっといいかしら?」
「あぁ、もちろん。じゃ、ミモザまたな」
降谷さんに頼まれたからと・・・無闇に私に近付かない方がいいのでは。
ジンに脅されたばかりなのだから。
とりあえず、キールがスコッチを連れ出してくれたお陰で私も彼から解放された。
バーボンに放置された私の世話をしてくれて、たくさん褒めてくれて、心強かったスコッチの視線がこんなにも苦痛になってしまうなんて───