第7章 ライムを添えて ※
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あの日から1ヶ月ほど経ち──
ジンには相変わらず呼び出されていたが、身体の痕を見られるのを恐れ、適当に理由を付けて行かなかった。
「もろ・・・・・・スコッチ、お久しぶりです」
「あぁ。・・・ミモザ、大丈夫か?アイツに聞いた」
アイツとは・・・降谷さんのことだろう。
この2人は子どもの頃からの幼馴染で今も仲が良いらしい。
大丈夫とは?別れたことを言っているのか、無理矢理されたことを言っているのか・・・。
「・・・はい、お騒がせしてすみません。私は大丈夫なので気にしないでください!でも珍しいですね、スコッチがアジトにいるなんて」
「そのことなんだが・・・ミモザ、最近ジンとはどうだ?」
「え・・・?」
「ミモザとジンの関係について、報告がないから見てこいって煩いんだよ・・・アイツ」
私が隠していると思い、スコッチに偵察に来させている、と。
ジンと恋人関係になって抱かれたとしても、報告するつもりはなかったが・・・。
わざわざ本当のことを教えてくれるなんて・・・スコッチは正直な人だな。
「すみません・・・お手数をお掛けして・・・」
「はははっ!真面目な所は変わらないな!アイツはさ・・・あぁ見えて結構、不器用な奴なんだ・・・」
あなたは何も悪くないんだから・・・そんな申し訳なさそうな顔をしないで。
ジンとは恋人になるどころか、あれから2人きりにもなっていない。
だから伝えることがないだけなのに・・・。
降谷さんの話をしながら苦笑するスコッチに、胸がキュッとなった。
「邪魔だ、どけ」
威圧的な声が上から降ってきて、ドキッと鼓動が高鳴る。
冷たい目で私たちを見ているが・・・何故だろう。
出会った頃なら確実に怯えるほどの怖さがあるのに、どこか甘さが含まれているような気がして愛おしく感じた。
・・・・・・愛おしい?
あぁ・・・もう、自分をごまかすのは限界かもしれない・・・。