第6章 揺れ動く心 ※
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「今日からお世話になります。と申します。よろしくお願い致します!」
単純に一目惚れだった。
有能な人材が欲しくて風見に探させた所、若くて優秀だというの写真と情報を持ってきて。
一見、大人しそうな印象を受け、本当に使えるのか半信半疑で・・・妥協でOKを出したようなものだった。
実際に業務を共にすると、誰よりも真面目で、熱心で・・・人一倍の負けず嫌い。
しかし、ふんわりとした雰囲気があり、透き通った瞳で見上げられると・・・自分は小動物のような可愛い女性が好みだったのかと、この歳にして初めてわかった。
「・・・張り切りすぎじゃないか?」
「降谷さん、お疲れさまです!いえ・・・納得がいくまでやりたくて・・・。あ、お邪魔ですよね!申し訳ありません・・・」
「隈ができてる。突き詰めるのも良いが、倒れたら元も子もないぞ。しっかり休め」
「・・・はい!ありがとうございます!」
睡眠不足については人に注意できる立場ではないが・・・。
の笑顔を見るだけで癒され、嘘のように疲れが吹き飛び、ふとした瞬間に見せる"女の子"の姿に僕が守りたい・・・と強く願った。
恋人になってからはが手に入った安心感から気に掛けることが減り、彼女が寂しそうにしている姿も見て見ぬふりをしていて。
僕から離れるなど絶対にない、と根拠のない自信があったんだ。
「降谷さん・・・・・・私たち・・・お別れしましょう」
やはり、組織に潜入させるのは間違っていた。
ジンの女の好みが僕と似ていることは薄々勘付いていたが、が奴に惹かれるのは想定外だった。
のことを1番理解しているのはこの僕だ。
愛し愛されているのはこの僕だ・・・と、信じて疑わなかったから・・・・・・。