第6章 揺れ動く心 ※
「っ・・・・・・あ、の・・・」
「・・・・・・綺麗だな」
「・・・・・・え?」
今、綺麗って言った?
黒の組織の冷酷無情だと言われているジンが?
言葉を失っている私をよそに、手櫛で梳かしたり指にクルクルと巻きつけたりと髪に触れ続けている。
「わざわざコイツを狙いやがって・・・クソが」
FBIに狙撃されたことを言っているのだろう。
確かに私が狙われた理由は不明だが、リボンが切れただけなので他に支障はない。
「怪我はしてないので・・・大丈夫ですよ」
「・・・・・・ミモザ」
「ス、ストップ!!」
抱き寄せられそうになった所を、寸前に身を捩ってかわし後ずさった。
当然、物凄い険悪な表情で睨まれていて。
少し怯んでしまったが、初めて見るジンの色気のある逞しい身体に胸が激しく波立つのを感じる。
彼を誘惑するのが私の役割なのに・・・反対に誘惑されてしまっていて、それに嫌悪感を抱くどころか求められて喜んでいる自分が情けない。
「すみません・・・。本当に大丈夫なので・・・気にしないでください!コート、洗ってきますね」
取り上げられたコートを持ち、部屋を出ようとジンに背を向けた。
「ミモザ・・・ッ」
「んッ・・・!!」
「・・・・・・・・・行くな」
後ろから長い腕が伸びてきてキツく抱きしめられた。
煙草とボディソープの香りに包まれ、上半身が裸ということも相まって心臓が飛び出そうなほどバクバク鳴っている。
耳の横にはジンの顔があり、吐息が掛かってくすぐったい。
「ジン・・・ちょっと・・・やめて、ください・・・っ」
「・・・今日は拒否するのか。今まで受け入れていたくせによ」
「んっ!やっ・・・耳元で・・・喋らないで・・・」
「フン、本音はこうされたいと思ってるんだろ?」
耳を甘噛みされ身が縮こまる。
「ひゃっ・・・や・・・だめッ・・・!」
「ハッ・・・駄目ならそんな声出してんなよ」
全力で抵抗しなければ・・・と思っているのに、耳の中に舌を入れられたり首筋を舐められたりするたびに甲高い声が出てしまう。