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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第5章 恋の蕾




その時・・・ドンッと大きい音がして肩が跳ねる。

ジンが運転席側の窓ガラスを叩いていた。


「ど、どうかしやしたか?」

「火だ・・・。たった今、海猿島に灯っていた火が消え失せた」


ジンも見えていたんだ・・・。

確かに、つい先程まで見えていた火が消えている。

ウォッカの横の窓に手を付いて、島を睨んでいるジン。

あの火はキャンプの焚き火ではない・・・?



『やはりそうでしたか・・・。この時期、この時間帯・・・東京湾の海流は海猿島方面に流れています・・・』


無線から流れるラムの声に、ゾワッと身の毛がよだつ。


『その海流に乗って水死体が海猿島に流れ着いたこともあったとか・・・。クルーザーは手配済み。島に上陸して逃げたFBIを狩りなさい・・・』



見つけて始末するまで追い続ける・・・ということ。

島で追われたら逃げるのは困難なのでは。

助け舟を出しているFBIと連絡を取ることができれば良いのだが。




私にできることは・・・・・・

キールを救うために、逃げたFBIを誰よりも先に見つけ出す。


緊張と焦りでギュッと手を固く握りしめた。







♦︎♥︎♦︎


「車酔いする奴がクルーザーに乗れるのか?海の上だぞ」

「ここで待っててもいいんですか?」

「いい訳ないだろ、死ぬ気で付いてこい。しっかり掴まっておけ」



なら何故聞いたんだ・・・と突っ込みたくなったが、グッと我慢。


島に着くまで隅の方で座らせてもらおうと思ったのに・・・「側にいろ」「掴まれ」と何度も言われ、仕方なくジンの言うことを聞いた。


ジンの側にいると、不思議と揺れが気にならなくて。

会話はなくても安心感があり、緊張と焦りで強張っていた身体が解けていくようだった。



「今日はハードな任務ね、ミモザ。
終わったら風に当たりながらドライブしない?」


不敵な笑みを浮かべて私たちを見るベルモット。

遊ばれている気がしたが彼女のバイクに乗ってみたかったので、誘われたことに心が躍った。



「乗りたいです!」

「決まりね!じゃあ、キールがジンの車に・・・

「ふざけるな。お前はさっさと帰って寝ろ」

「・・・・・・」


さっきから寝ろ寝ろって・・・。保護者なの?

心配してくれているのだろうけど・・・執拗な子ども扱いに冷ややかな目を向けた。
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