第5章 恋の蕾
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「そうか、わかった。サツが来る前にズラかれ」
「どうだったんですかい?」
「別働隊に潜らせて調べたが・・・やはりドライバーは消えていたようだ」
しばらく海ボタルで休憩させてもらってから、再び車を走らせる。
もう追う者はいないので安全運転で。
ジンによると、海の中を調べたが落ちていたのは車だけで、乗っていたFBIの姿はなかった・・・と。
『ちょっと手際が良すぎないかい?
簡単に挟み撃ちされて車ごと落ちた野郎なのにさ』
『それだけ切れ者だった・・・ということじゃないかしら』
キャンティとキールが口々に言い合う。
私が思うに、他のFBIやコナンくんが助け舟を出しているのでは・・・。
まだ子どもだが、あの子はFBIの人間なのだろうか。
推測力に相当長けている。
『FBIが総がかりで知恵を貸し、その男を助け出そうとしているかもしれないわね・・・』
ベルモットも同じことを思っていたようだ。
切れ者なのか、知恵を借りているのか・・・。
『はあ?何でさ?』
『さぁ?コルンがその男のことを見覚えがあるのと関係してるんじゃないかしら・・・』
「その男の正体を知られたら、FBIにとってマズイことになるんじゃないんですかい?」
「そいつの顔を拝まねぇと腹の虫がおさまらなくなっちまったぜ・・・」
男とキールに関わりがあるのは濃厚そうだ。
どうしたら探すのを止められるのかと顔を顰めながら唸っていると、いつの間にかジンに見られていた。
「まだ治らねぇのか?目閉じてろよ」
「だっ・・・大丈夫です!」
「・・・いいから寝てろ。着いたら起こしてやる」
あまり優しくしないでほしい。
優しさに流される女になりたくはない。
ふと窓の外に視線を移すと、海の向こうの島に1つのオレンジ色の灯りが見えた。
「焚き火・・・?」
キャンプをしているのか・・・しかしもう午前3時。
私自身、キャンプをしたことがないので不明だが、火を灯したまま寝るものなのだろうか。