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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第5章 恋の蕾




ウォッカが待つ愛車でキャンティの車を追う。

狙撃されたことで焦っているだろうからすぐに捕まえられるはずだ。



横目で後部座席を見ると、どことなく拗ねているような表情のミモザ。

揶揄ったつもりだったが・・・本気で眠いのか?




任務中に集中力を切らしたことのない俺が、あろうことかミモザに口付けをしてしまった。

よりによって急がねばならない時に。

一度してしまうと身体が「もっと」とウズウズ動き出す。

追いかけっこのようなお遊びはさっさと終わらせて、甘い香りに癒されたい。



コイツに心を乱されすぎているな・・・。





『ジン!まかれた!多分そっちに向かったよ!』

「問題はない・・・たった今スレ違った」


進行方向を変えて逃走を続けるFBIの車の後をつける。

スピードを上げて我々をまこうとしているようだ。


「チッ、野郎・・・スピードを上げやがった!
T字路・・・くそっ!どっちに・・・」


「左・・・」


ミモザが小さい声で呟く。

コイツの視力の良さはとんでもない武器だな。


「左だ、左に曲がれ!」

「ひ、左ですかい?」

「スピードを上げろ。ミモザ、しっかり掴んでろよ!」

「は、い・・・」



速度を最大に上げて進むと前方にFBIの車が見えた。

慣れない速さにミモザの顔が引き攣っている。

コイツは軽すぎて急ブレーキを掛けたら飛んでいきそうだな。



「しかし・・・何で左なんですかい?」

「人間は追い立てられると左に曲がる習性がある。急かされたハエも同じだったということだ」

「・・・初めて聞きました。ジンって・・・物知りなんですね」

「フッ・・・」


コイツが俺を良く言うとは・・・熱でもあるんじゃねぇのか。

こんな時に・・・心臓に悪い。


「野郎・・・海ボタルに入りやすぜ」

「キール、ベルモット、海ボタルだ!千葉から入って奴の退路を潰せ!」



無線から銃と激しい水音がした。

どうやら奴らの車は海に落ちたようだ。


キャンティの車と共に、全員が合流する。



「・・・・・・おい」

「え?・・・あ、すみません・・・」



荒い運転で気分を悪くしたのか、ミモザが顔面蒼白の状態で外に出てきて。

辛そうなその姿を見たら無意識に腕を貸していた。


控えめに触れられている右腕が暖かい。
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