第5章 恋の蕾
『こ、この声・・・』
「機械で声色を変えてやすが・・・」
『間違いない・・・組織のNo.2・・・』
──────ラム!!
姿は現さないと聞いていたが、声色も変えているなんて・・・。
『この暗号は以前まで作っていた人物と異なる。
組織をおびき寄せる罠だ』
・・・やっぱり。
先程殺されたFBIの死はまだニュースになっていないから、まだ把握していないと思わせているんだ。
『今から言う場所で張り込め』
♦︎♥︎♦︎
果出風町1の4、地下駐車場───
ラムに言われた通り、FBIを狙いやすい場所に張り込む。
私とジンは、入口にあるトラックの中で身を潜めて待機していた。
「奴らが出てきた所を俺が撃つ。お前は後ろに下がってろ」
「・・・ジンは、私に撃たせたことないですよね」
「何だ・・・やりたいのか?」
「そういうわけでは・・・ないですけど・・・」
射撃は割と得意な方で、降谷さんや風見さん、ウォッカにも筋が良いと褒められた。
ジンもそれについては把握済みだろうに・・・。
周りが狙撃している中、1人ジンの後ろで眺めているだけなんて足手纏いではなかろうか。
「失敗して怪我をされた方が足手纏いだ。お前はその無駄に良い視力を活かして役に立て」
「・・・役に立ったらその無駄という発言、撤回と謝罪してくださいね?」
「うるせぇ。集中しろ」
ぶっきらぼうな言葉の中に甘さを感じて。
声が出なくなるほど怯えていたあの日が今では信じられない。