第4章 コードネーム ※
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「Hi! 瑠愛。元気なさそうね、どうしたの?」
「そうですか・・・?元気ですよ!」
「笑顔は女の武器よ。あなたの魅力を引き出してくれる男が近くにいるといいわね?」
いつも余裕で色気が漂うベルモット。
世の男性は、彼女のような妖艶な女性を好む人が多いのだろう。
組織のお姉さん的存在で、敵なのにおかしい話だが密かに憧れている。
「そういえば、ジンが部屋に来いって言ってたわよ。連絡来てないかしら?」
「あ、忘れてた・・・」
先程鳴っていた着信。
公安にいたから確認できず、後回しにしていた。
組織用のスマホを見ると、ジンからの着信とメッセージが数件来ている。
そんなに時間経ってないのに・・・・・・
ジンって結構せっかち?
「どう?ジンとの相性は。
バーボンとどっちが合うかしら?」
「・・・相性・・・とは?」
「いやねぇ。身体の相性に決まってるじゃない。
もう寝たんでしょ?ジンと」
・・・・・・寝た?寝たって・・・つまり、ソウイウコト?
「な、何言ってるんですか!寝てませんよ!恋人でもハニートラップでもないんですから!」
実際、部屋に何度も呼ばれているが、お互いに触れることは何もしていない。
「あら。まだ手出してないの?
へぇ・・・ジンにしては珍しいわね」
「・・・手を出さないのが珍しいんですか?」
「そうね。性欲処理とか味見とか・・・いろんな女を抱いてきてるわよ。結構モテるみたいだし」
あ・・・味見?
よく考えればそうだ。
あの冷酷なジンが一途に1人の女性だけを想うなんて皆無だ。
いろんな女を抱いている・・・・・・のに、密室に2人きりでも私は指1本触れられていない。
いや、別に・・・・・・どうでもいいけど・・・・・・
・・・・・・複雑、かも。
「ふーん・・・。あの男にも人間の心があるのね、
面白い」
ニヤニヤと頬を緩ませて私を見ているベルモットが、ほんの少し癪に触った。
「相当ご立腹でしょうから、早く行ってあげなさい」
「・・・・・・行ってきます」
彼女も、ジンに抱かれたことがあるのだろうか。