第17章 "彼女"の正体
「これ・・・縄、解いてください。本当に私が必要であれば任務に協力しますので、ちゃんと話しましょう」
「・・・・・・フン。ビビってるかと思えば真面目かよ。もっと楽しませろよなァ、つまんねーお姫様」
「その呼び方やめてください」
「チッ・・・。あーーつまんねェーー。クッソつまんねェ。・・・ま、そうだな・・・・・・、アイツの女なんてこんなもんか。あの野郎にはお似合いだわ」
ブツブツと文句を言われながら、拘束されていた縄を雑に解かれる。
文句・・・・・・悪口?
まるで拗ねている子どものようだ。
見るからにプライドが高そうな彼は、他人に弱音を吐くなどしたことがないのだろう。
これだけジンを敵対視しているのだから、組織の人には口が裂けても言えないはずだ。
もしかして・・・・・・実は、寄り添える仲間が欲しかった、とか?
ラムに期待されているピンガも、たった1人では壁にぶつかることもあるだろう。
仲間がいれば、お互い案を出し作戦を練ったり、時にはふざけ合ったりして信頼関係を築いて・・・
「オイ。勝手にクソ気色悪ィこと考えてンなよお姫様。全部声に出てンだよッ!!」
大声で叫び、ドンッと穴が空きそうな程の強い力で壁に拳を当てた。
突然のことに肩が跳ね上がる。
殺気の篭った彼を前に一瞬怯んだ。
しかし、わざと大声を上げて脅す・・・・・・私にはそのやり方が、大人に構って欲しいと訴える少年のように見えた。
自分がどんな顔をしていたのかはわからない。
緊張感がなく、口元が緩んでいたのかもしれない。
私の表情がピンガの癪に触ったのか、細長い綺麗な指が首にグッと食い込んだ。
「ッ・・・!!・・・く、ッ・・・・・・」
女相手でも容赦ない。
気に入らない人間は始末する。
そんな所はジンと似ているな・・・と殺されそうな時に呑気なことを考えてしまった。
「調子に乗りすぎだよなァ?お姫様・・・・・・。あぁ、そうか・・・。手っ取り早くジンを蹴落とすには────」
「・・・・・・ッ」
「──お前を殺すのが1番かもな」