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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第17章 "彼女"の正体






私がお姫様なら──

王子様は助けにきてくれる・・・?






私が眠ったら──

キスで起こしてくれる・・・?






私が殺されたら──

ジンは・・・・・・悲しんでくれる・・・────?







薄れていく意識の中、スマホが震える音がして。

首を絞めているピンガの手が僅かに緩んだ。




「はァ・・・何の用だ?キール。・・・・・・あァ?」




キール・・・・・・!


彼女に聞こえるように声を上げたい。

でもそんなことをしたら、本当に殺されかねない。


キール・・・・・・ピンガに何の用件だろうか。


耳を澄ましても、話の内容までは聞こえない。




ジンは・・・・・・近くにいるの・・・・・・?





「そーかよ・・・チッ。へいへい、やればいいんだろ、やれば。・・・あー、そうだ。ジンも来るんだろ?」


「っ・・・!!」


「あ?ミモザ?あァ・・・ククッ。今からお楽しみなんだわ。じゃあな、キール」




挑発しているつもりなのか・・・意味深な発言を残して通話を終える。



ふ・・・と気がつくと、いつの間にか苦しかった呼吸が楽になり、両手の自由も戻ってきていた。




「っ、けほ・・・けほっ・・・」


「・・・お姫様、仕事だとよ。2日後の夜・・・ドイツ、フランクフルトでな」


「・・・・・・ドイツ?」


「説明は後だ。さっさと用意しろ、すぐ出発する。フン、お楽しみはお預けだな」




着替えてこい、と部屋を追い出されて。

一気に力が抜けて膝から崩れ落ちた。


この短時間に起こった出来事を頭の中で整理したいけど、上手く働かない。




グレースの正体が・・・・・・ピンガ・・・────


やっとのことで見つけたと思ったら、息つく暇もなくピンガとの任務。





ジンも来るって言ってた、よね・・・。

会えるだろうか。

早く・・・・・・会いたい。




彼からの着信が残ったスマホを抱きしめた。 


自分からピンガの香りがして、ザワザワと胸騒ぎがする。


ジンの香りが恋しい。



力の入らない足に鞭を打ち、ドイツへ向かう準備を急いだ。





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