第17章 "彼女"の正体
「へェ・・・・・・美人が入ってきたとか男共が騒いでいたが、素の顔もなかなか良いんじゃねェの?」
「・・・・・・素?」
「これ。あの野郎の好みか?」
変装用の"瑠愛"のマスク。
眠らされている間に拘束され、変装も見破られていた。
そもそも、ピンガのサポートの為に来たというのにこの扱いは何だ?
お互い初対面で仲間意識は皆無だが、同じ組織に所属している身で・・・・・・。
「俺はコッチの顔の方が好みだけどなァ。別にガキは好きじゃねェけど」
「ガッ・・・!ガキじゃないです!い、言っておきますけど私の方が年上ですから!!」
無意味な反論だと理解しつつ、ジンのようにガキ呼ばわりするピンガに腹が立った。
たった2つ3つの差で年上だと騒いでいるから馬鹿にされてしまうのだ。
ジンが連絡をくれた。
なのに出られなかった。
何を伝えようとしてくれたんだろう。
まだ怒っているのかな。
心配してくれているのかな。
ピンガに好みだと言われて喜べるはずがない。
ジン・・・・・・あなたが見たら何と言う?
ピンガと同じように素の私の方が良いと言ってくれる?
「意外と強気なんだな。はいはい、お姫様。年上だろうがココでは俺の言うこと聞いてもらうぜ?ジンにも了承得てるから反抗するなよ」
「・・・ジンに、了承・・・って・・・。デタラメ言わないでください」
「信じたくないよなァ?さっきの通話、聞こえなかったか?」
さっきの通話・・・ジンだったの?
ピンガの声は聞こえたが、内容までは把握できなかった。
「信用できねェならもう1度掛けてやる、自分で確認しろ」
「ま、待って・・・・・・っ」
どう確認しろというのよ。
反対してくれていたジンに「ピンガに何されてもいいの?」と聞けと言うのか。
どの口がそんな上から目線な発言ができるんだ。
そんな逆ギレ女・・・私が男だとしても願い下げだ。
泣くな。
自分が決めたことなのだから。
堂々とジンの元へ戻るには、今やるべきことをやり遂げる他ない。