• テキストサイズ

【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第15章 外の世界へ







小走りでジンを追ったが見つからず、彼の部屋の前で足を止めた。

説得・・・できるだろうか。

怒鳴られる覚悟は出来てる。

ドクン、ドクン・・・と脈が波打ち、震える手を抑えながら扉を叩いた。



「ジン・・・・・・私・・・、っきゃ!?」


開いた扉から伸びてきた手にガッと腕を鷲掴みされ、壁に押し付けられた。


「てめぇ・・・正気か?」

「ジ、ン・・・・・・」

「・・・撤回しろ。今なら聞かなかったことにしてやる」

「・・・・・・すみません・・・・・・行かせてください・・・」




ジンの優しさに甘えていた。

多少の我儘なら許してもらえるだろう。

怒っていても最終的には認めてくれるだろう・・・・・・と。



「駄目だ。撤回しろ」

「っ・・・、私も・・・役に立ちたいんです!」

「・・・・・・ハッ、若い男が良くなったか?バーボンと俺の次はピンガかよ」



馬鹿にするように笑われ、胸が苦しくなった。

私にはジンだけなのに・・・彼もわかっているはずなのに。

はっきりと否定するべきだが、男好きと言われたことで言葉を失ってしまった。




睨むように絡み合う視線────





可愛く話したいのに素直になれない。

このままでは本当にピンガが目的だと思われてしまう。


顎を上げられたと同時にジンの顔が近付く。

唇が触れそうなほどスレスレの距離で。



こんな状況でも・・・キスしてほしくて。

「撤回しろ」ではなく、「行くな」と強く抱きしめてほしい、なんて・・・・・・。

自分から離れる決断をしておいて自己中な女だ。





「・・・・・・もう一度だけ言う・・・・・・撤回しろ。お前に長期の潜入が務まるわけがねぇ。その少ない脳みそでよく考えろ」



そんな言い方されたら、素直に撤回などできない。




「何を言われても行きます。馬鹿にしないでください」

「・・・・・・・・・チッ、勝手にしろ」



密着していた身体を突き放され、部屋に1人残された。

急激に力が抜けてズルズルと壁を伝い座り込む。




しばらく会えなくなるというのに・・・・・・喧嘩別れをしてしまった。


一気に押し寄せる後悔。







ジンの瞳が揺れているように見えた。

/ 203ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp