第14章 平穏な日々 ※
ゆっくりと微睡むを見ていると、親のような気持ちになった。
「可愛い子猫ちゃん・・・穏やかな顔してるわね。──ジン、記憶喪失になったのは仕方ないけど・・・・・・もうこの子を傷付けないであげて」
「・・・・・・わかってる」
「あら、素直なのね?私の前で膝枕なんて見せちゃって・・・・・・記憶が戻った代わりにネジでも1本抜けたのかしら」
脚を組み直しニヤリと口角を上げるベルモット。
揶揄いを含んだ言い方だが、その表情からは安堵している様子が窺える。
俺の膝で気持ち良さそうに寝息を立てているは、本当に子猫のようで愛くるしい。
元から細かったコイツの身体は、骨ばった部分が目立ち頬もこけていて。
こんな状態になっても組織に残り、俺が戻るのを待っていてくれたのかと思うと心が締め付けられる。
これまでのストレスや疲れを少しでも解消してほしい。
頭を撫でていない方の手での手を握った。
笑みを浮かべているような表情に、うっすらと開く桃色の唇。
そこに自身の唇を押し当てたい・・・・・・が。
目の前にいる女の好奇の眼差しのせいで、それは叶わず。
「・・・・・・見せもんじゃねぇ」
「よく言うわよ。どうぞ?お構いなく。ジンがこの子をどんな風に甘やかすのか興味があったから良い機会だわ」
「悪趣味な奴だ」
記憶が戻ってすぐにを求めてしまったが、あんなもので満足できるはずがない。
自分で寝かせておいて、可愛い寝顔にムラムラと欲が湧いてくる。
前言撤回だ。親の気持ちになどなるか。
ベルモットがいなければ確実に身体を弄って起こしていただろう。
──今夜は寝かせねぇからな・・・・・・今のうちに体力回復しておけよ、。
起きるまで寝顔を眺めていたいところだが、考えなければいけないことがあった。
今後、二度とコイツをバーボンの目に入れたくない。
────殺るか。
しかし・・・妙に引っ掛かる。
何故あのタイミングでボスから連絡が来たのだろうか・・・。