第14章 平穏な日々 ※
「へぇ?キスで記憶が戻るなんて・・・どこかのプリンセスみたいね?」
「フン。勝手に言ってろ」
ジンとは離れたくないが組織に残るのも気が進まなかった。
さすがにもうバーボン・・・・・・、降谷さんと顔を合わせない方が良いと思ったから。
仕事を放棄する形で申し訳ないが、公安も辞めるつもりでいた。
心残りなのは風見さんのこと。
そして、最後に見掛けたのはいつだったか・・・諸伏さんのことも気になっている。
突然辞めたら、また心配を掛けてしまうだろう。
降谷さんは彼らと信頼関係が深いからこそ、本当の理由は伏せておかなければならない。
公安も組織も辞めて・・・・・・でも、やっぱりジンの側から離れたくない。
こんな我儘、果たして許してもらえるのだろうか。
ぼーっと上の空の状態でジンとベルモットの声を聞いていると、大きい手が私の額に触れた。
「まだ気分悪いのか?顔色が良くない。横になってろ」
「え!?い、いえっ!大丈夫です・・・!!」
「無理するな。倒れられたら面倒だ」
「うっ・・・わ・・・・・・は、恥ず、かし・・・んですけど・・・っ!!」
無理矢理、頭をグイッと横に倒され横に座っているジンの膝に乗せられて。
いわゆる膝枕という小っ恥ずかしい体勢をベルモットの前ですることになった。
2人きりならまだしも、ジンが人前で甘い雰囲気を出すなんて・・・。
・・・というか「まだ気分悪いのか?」だなんて、あれだけ車内で愛し合ったのに・・・・・・今更だ。
子どもをあやすような優しい手付きで頭を撫でられ、フッと身体の力が抜けていく。
あぁ・・・ガキだって言われるんだろうな・・・。
それでも、ウトウトと重くなり言うことを聞かない瞼。
暖かい体温に誘われて、ジンとベルモットの視線を感じながら目を閉じた。