第13章 キスで目覚めて ※
火照った顔で「キスがしたい」と懇願されて、拒む理由がない。
先程、ミモザの呼吸を整える為にした口付けで蘇った記憶。
──全てを思い出した。
コイツが俺にとってかけがえのない存在だということを。
馬鹿の一つ覚えのように、何度も必要ないと拒否してしまった理由は不明だが・・・。
心の奥底では、想いは変わっていなかったはずだ。
その証拠に誰一人として女を抱いていない。
あの女の全裸を見ても口付けても、何の興奮材料にもならなかった。
ミモザのことは考えるだけで身体が疼くというのに。
「名前・・・・・・教えろ」
「ん・・・・・・、です・・・」
「・・・か。お前に似合ってるな」
「え、あ・・・っ、あぁッ・・・!!」
やっと名前を呼ぶことができた。
ずっと・・・ずっと知りたかった名前。
コードネームでも偽名でもなく、愛している女の本当の名前を。
力を抜くよう耳元で囁きながら、昂った自身を挿入する。
声だけでも感じるのかナカがキュッと締まり逆効果だったが、コイツの元に帰ってきたのだと実感した。
久々に可愛がってやりたいのに余裕がない。
ドクドクと精液が上がってきているのを感じる。
歯を食い縛り、善い箇所を突いてやるとの艶やかな表情に理性を削がれた。
「クッ・・・、可愛いな、この野郎・・・ッ」
「なっ、ん・・・何言っ・・・はぁ、んっ・・・!」
盛ったガキのように興奮が収まらず、血色の良い唇に口付けながら無我夢中で抱き続けた。
ギリギリの所で自身を引き抜き、の腹に欲望を吐き出す。
綺麗な肌を自分が汚したという優越感。
まだ硬さを保っているが、これ以上車内で無理はさせられない。
「ジン・・・・・・」
「ッ・・・・・・」
そんなこちらの葛藤などお構いなしに、潤んだ瞳を輝かせるに気持ちが揺らいでしまいそうだった。