第13章 キスで目覚めて ※
「・・・お前の本当の名前を呼びたい。教えてくれ」
「な・・・何で・・・?本当の名前、って・・・・・・」
「・・・NOCだと知っていても側に置きたかったのは、俺の人生にお前が必要だったからだ」
私を見るジンの眼差しが優しい。
それはあの頃に向けてくれていた、愛のこもった眼差しだった。
「2人で住む家に着いたら聞きたいと思っていた。必要ないと言ったこと・・・・・・悪かった」
「ジ・・・ン・・・?戻った、の・・・?」
「ミモザ・・・愛してる。随分と待たせちまったな」
「ジン・・・・・・!!」
思わず彼の胸に飛び込んだ。
いつ、何がキッカケで戻ったのか。
気になることは多々あるが、今はそれよりもジンを抱きしめたかった。
抱きしめてもらいたかった。
涙腺が緩くなっている目からは大粒の涙が溢れてくる。
次第にしゃっくりも出てきて、子どものように声を上げて泣きじゃくった。
ジンはそんな私を宥めるように頭を撫で、耳元で愛を囁いてくれて。
自分から抱きついたというのに久々の距離の近さに顔が熱くなる。
涙が染み込んだ彼の服を見て、また汚してしまった・・・とロングコートの存在を思い出した。
取られたコートは今もギムレットが持っているだろうか。
「ん、あっ・・・・・・!」
「泣きながら俺以外のことを考えてるのか?バーボンの心配でもしてるのか?あ?」
「ちっ・・・違います!ッ、はぁ・・・っ」
耳をカプリと甘噛みされ舌が穴の中に入ってきて、ゾワゾワとした感覚に声にならない吐息が漏れる。
ジンの低い声だけでも感じるのに、舌で耳を犯され続けたらそれだけで絶頂に達してしまうかもしれない。