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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第12章 すれ違い ※




「男なら惚れた女くらい守れよ」

「・・・そうですね。何故守らなかったのだと・・・悔やんでも悔やみ切れません。君が一生、僕のことを忘れないように・・・君の前で死ぬのも悪くないかもしれないな」



細めた目でこちらを振り返った降谷さんに、ドクドクと動悸が激しくなる。


目の前で死なれたら、忘れたくても忘れられない。

悪夢と闘う毎日が想像できる。


冗談のように言っているが、本気でやってしまいそうで怖くて堪らなくなった。




「はっ・・・はぁ、はっ・・・ッ・・・、う、は・・・」




苦しい。



呼吸が上手くできない。

どうやって息を吸うのか

どうやって息を吐くのか

わからなくなってしまった。





苦しい・・・

苦しい・・・

助けて・・・



止まっていた涙が再び流れ始める。




「はッ・・・は、げほっ・・・、はぁ・・・ッ」

「・・・?」

「どけ!!」



朦朧とする意識の中、ふわりと香る煙草と大好きな香り。

昨夜掛けてもらったコートの温もりだ。


借りたのにちゃんと返せなくてごめんなさい・・・と、心の中で謝罪した。



「ミモザ、ゆっくり吐け。大丈夫だ・・・焦らなくて良い」

「っ、はぁ・・・ん、は・・・はぁっ・・・」

「そうだ、ゆっくり・・・・・・お前が傷付くようなことはしない・・・安心しろ」



大きい手で背中を摩りながら呼吸を合わせてくれるジン。

優しい温もりと信じられないほど穏やかな口調に、心も身体も暖かくなった。



「チッ・・・」


それでもなかなか落ち着かず、痺れを切らしたのか舌打ちが聞こえて。

申し訳なさと見放される不安が波のように押し寄せてくる。


意識が遠退きかけている時、ぼんやりと声が聞こえた気がした。



「・・・・・・塞ぐぞ」

「ん・・・?ッん・・・!」



唇に冷たい感触と口内に入ってくる熱い空気。

塞がれたと思ったら離され、息を吐く。

そしてまた塞がれ、空気を送られる・・・・・・。



繰り返しているうちに息苦しさがなくなり、ジンの顔をはっきり捉えることができた。


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