第12章 すれ違い ※
バンッ────
「きゃあっ!?」
「・・・嗅ぎ付けたか・・・」
突然の銃声と血の匂い・・・
降谷さんの顔が歪んだ。
「っ!!降谷さん、足が・・・!!」
「問題ない・・・。ハッ・・・この状況でも僕の心配をしてくれるんだな、君は・・・」
「え・・・」
切なく微笑む彼の瞳は揺れていて。
情に絆されてしまいそうだが、彼に優しくすることはもうできない。
どんな手段を使われても、彼の元へは戻らないと決めたから。
「あの時の僕の判断は間違っていた・・・・・・自分を一生恨むよ」
「降、谷・・・さ・・・」
「・・・・・・」
バンッ────
「うッ・・・・・・」
「手を上げて、お互いの距離を取れ」
「ジン・・・・・・」
何故、ここに・・・
銃声の方に視線を向けると、拳銃を横に傾けたジンが私たちを見下ろしていた。
長い前髪から見える鋭い深緑の瞳。
少しでも逆らえば即あの世行きだ。
「コソコソしやがって・・・そんなんじゃNOCだと疑われちまうぜ?」
ヒュッと喉が鳴った。
ジンは気付いている。
私たちがNOCだということに・・・・・・
足を負傷した降谷さんは手を上げているものの、その場を動かず真っ直ぐジンを見据えていた。
「僕たちがNOCだとしたら・・・殺す時は2人一緒にお願いしますね」
「フン・・・、それは聞けねぇ願いだな。テメェにくれてやるつもりは更々ない」
「そうですか、残念です。では、お先に彼女から・・・どうぞ?」
「ハッ。惚れてる女を売るのかよ。クズな野郎だ」
黒い笑みを浮かべて啀み合う2人。
挑発してどうするんだ。
ジンなら私を殺さないと思ってるのか。
私だって・・・できることなら、そうあってほしい。
今のジンは・・・・・・
私を・・・・・・殺す・・・・・・?