第12章 すれ違い ※
「はぁ・・・・・・ジ、ン・・・・・・」
「・・・・・・目を閉じてろ。すぐに終わらせる」
「・・・・・・え?」
私から離れる際、ちゅっ・・・と軽く口付けたジンは、地面に倒れている降谷さんに拳銃を向けた。
「ジ・・・・・・ッ!!」
撃たないで。
そう言いたいのに声が出なくて。
降谷さんの元へは戻れないが死んでほしくはない。
助けたい。
助けられない。
矛盾した気持ちと動けないもどかしさで、耳を塞ぎ瞼をギュッと閉じた。
間髪入れず来ると思っていた衝撃は、待てど暮らせど感じられない。
うっすら瞼を開けるとジンがスマホを耳に当てていた。
「・・・・・・・・・了解。おい、コイツによく言い聞かせておけ」
盛大な舌打ちをして拳銃を下ろし、顎でウォッカに指示をする。
「へい・・・。兄貴、バーボンはNOCじゃなかったんですかい?」
「ああ・・・・・・ボスに従って今回は見逃してやる。だが・・・次はないと思え」
バーボンはNOCではないと、ボスが判断したのだろうか。
まるでどこかで伺っているかのようなタイミングの良さ。
とにかくバーボンも私も、殺されずに済んだ。
彼の言う通り、今回は・・・・・・だが。
息苦しさが多少残り、精神的な疲れと助かった安堵で頭がぼんやりする。
私はこれからどうしたら良いのだろう。
NOCを辞める決心をしてアジトを出てきたのに。
ジンに疑われたまま、いつ殺されるかとビクビクしながら組織で生きていかなければならないのだろうか。
「・・・・・・平気か」
「あ・・・・・・は、い・・・・・・」
目線を合わせ覗き込まれて。
鼓動の速さが伝わってしまいそうで咄嗟に下を向いた。
怖さもあるが、愛おしいジンが至近距離にいる。
しかも数分前に唇を合わせたばかりだ。
彼は私を助けてくれただけなのに・・・
耳まで熱くなり、ファーストキスのような恥ずかしさを感じていた。