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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第12章 すれ違い ※




完璧にトリプルフェイスをこなす彼が感情的になる姿を見たのは2度目だ。


出会った時から仕事のできる隙のない上司で、甘えさせてくれる優しい彼氏で。


私の前では完璧な彼でいてくれたのだろうか。




「・・・ギムレットに指示をしていたのは・・・・・・降谷さんなんですか・・・?」


「・・・・・・・・・そうだ」


「どうして・・・・・・っ、私がいるのにあの子にも同じ指示をしていたんですか!?」



──意味がわからない。


私とは反対のタイプの彼女を近付けて、どうするつもりだったのか。

頭が割れそうなほど痛い。

金属バットで打たれたかのようだ。




「・・・とジンを別れさせたかった。そんな時ちょうど彼女が現れたんだ。僕の為なら何でもする、と・・・」


「・・・・・・は・・・?」


「抱いてくれるなら何でもすると言うから・・・使わせてもらったよ。ジンを寝取れって」



降谷さんの顔が耳元まで近寄ってくると、ゾワッ・・・と悪寒がした。

この人は平然と何を話しているのか。


つまり・・・降谷さんに好意を持っているあの子を利用して、私からジンを離そうとした・・・。






────「もし・・・・・・好きな人に・・・ジンさんに、ハニートラップを頼まれたら・・・ミモザさんはやりますか?」






以前、ギムレットに言われた言葉を思い出した。


時折見せる彼女の崩れる表情の裏には、残酷な事実が隠れていたんだ。


好きな人の為だとしても・・・他の男と寝ろだなんて。

しかもあの子は公安やFBIからのNOCではなく、完全に降谷さんの為だけに潜入した一般人・・・。



人の気持ちを踏みにじってまで私を取り戻して・・・それで満足なのだろうか。

私がまた自分のことを好きになると思っているのだろうか。



「記憶喪失は予想外だったが・・・まあ、あの男は良くやったよ。ジンは殺しても死ななそうだしな」


「・・・・・・あの男って・・・・・・もしかして・・・」


「エメを襲った男だ。2人のお陰でがジンに必要とされなくなった。寂しかっただろ?よく我慢した、偉かったな」


ちゅっ・・・と耳に唇が触れた。




何故、笑ってるの?

嫌だ、やめて・・・近付かないで・・・


身体は動かないのに涙が止め処なく溢れ出す。
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