第12章 すれ違い ※
アジトに戻る道中、バーボンに手を引かれるミモザが視界に入った。
任務だと聞いていたが何をそんなに急いでいるのか。
引き摺られて転びそうになりながら必死に足を動かしているミモザの様子がおかしい。
ここで止めないと後悔する。
俺はアイツに会う為に戻ってきたんだ。
このまま見過ごして任務に行かせられない。
「ッ、停めろ!!」
「へ、へい!」
急ブレーキを掛けたため後方車からクラクションを鳴らされたが、それどころではない。
完全に停車する前に扉を開け、アイツの名前を呼ぶ。
「ミモザッ!!」
俺の声に反応して振り向く彼女は、眉を下げて今にも泣きそうで。
その表情にドクンと心臓が跳ね、冷や汗が流れ始める。
真顔のバーボンはチラッと目線をよこしただけですぐに前を向き、ミモザの手を一層強く握った。
まさか・・・バーボンと共に消えようとしてるわけではないよな?
もう、興味のないそぶりなどできやしない。
俺はお前に伝えたいことがある。
そして・・・聞きたいことがあるんだ・・・────
2人を止めようとあちら側に渡っている間に、ミモザはバーボンに車に乗せられ息つく暇もなく発進した。
窓から覗くミモザの瞳が俺に助けを求めているように見えて。
迷っている場合ではなかった。
逃すかよ────
「ウォッカ!アイツらを追え!!」
「了解!」
車に引き返し、RX-7を見失わぬよう睨み付けながら奴らを追った。