第12章 すれ違い ※
「ジンさん・・・・・・抱いてください・・・・・・」
「・・・・・・シャワー浴びてこいよ」
「っ!は、はい!お借りしますっ!」
恋人だったのならば、身体の相性はきっと良かったのだろう。
この際だから確かめてやろうと思った。
別にシャワーを浴びなくても好きな女ならば、多少汚れていても抱けるはず。
しかし、今の俺の中では許せなくて。
あのキツイ匂いを少しでも消させたくてシャワーを促した。
「チッ・・・・・・」
1人になって気が付いた。
仮にも好きだった女とキスをしたというのに、俺の下半身は全く反応していない。
抱き合って身体に触れていれば反応するのか・・・、それともモノの調子が悪いのか・・・。
この1年間は女を抱いていない。
性欲はあるし溜まったモノを1人で吐き出してはいるが・・・。
その時は必ず、俺の頭の中に出てくる女がいる。
いけないことだとわかっている。
俺の中から出ていけと放り出しても戻ってきてしまう。
何度拒否しても張り付いて動かないため、仕方なくその女で欲を満たすしかなかった。
ギムレットとはキスしても反応しないが、アイツの妄想をするだけで痛いほど勃起する。
今も・・・・・・また・・・・・・。
恋人ではなく他の女に欲情するとは・・・・・・再び罪悪感に苛まれた。
「あのっ・・・・・・お待たせ、しました・・・・・・」
シャワーを終えた女が頬を紅く染めて戻ってきて。
バスタオルを身体に巻いている姿に、本来ならば興奮するべきなのだろうが・・・・・・。
「ジン、さんも・・・・・・シャワー浴びます、か?」
「・・・・・・俺はどんな風にお前を抱いていたんだ?」
「えっ・・・えっと・・・・・・。優しく・・・・・・でも、時々激しく・・・です、んっ!!」
俯いてモジモジ話している顎を掴み、食むように唇を挟む。
目を丸くして驚いていた女だが、すぐに酔いしれて俺の首に手を回した。
───俺が優しく女を抱く?
今まで優しくした記憶がないため、やり方がわからない。
頭の中にいる女で昂った気持ちのまま突き進んでしまおうと、手を動かすしかなかった。