第11章 私の居場所
シャワーとドライヤー、スキンケアを済ませメイク道具とコテを準備して。
コスメを広げ、どんなメイクをしようかと腕を組み考える。
この服を着てジンに会った時はスッピンだったな・・・。
さぞかし、ぼんやりした印象だっただろう。
今日は使ったことのない色に挑戦してみようか。
そういえば・・・・・・ジンはどんな女性が好みなのだろう。
スタイルの良いモデル体型の大人な女性がピッタリなイメージだから、私のどこを好きになってくれたのか・・・そんなことも知らない。
知りたくても、今のジンに聞いて答えてくれるわけもなく・・・心の中に封印するしかなかった。
「よし・・・・・・可愛い、よね?」
久々に施した華やかなメイク。
髪は緩やかに巻いてオイルで艶を出し、サイドに流す。
仕上げにさりげなく香水を纏えば完璧だ。
オシャレをすると多少は気分が上がる。
今までもウジウジ悩んでいないで、こうすれば良かったのか。
後悔しても遅いけど・・・もしジンに出会った頃に戻れるのであれば、自分の気持ちに素直でいたい。
あなたのことを愛していると・・・
うざがられるほど伝えたい。
身なりは整ったのに、鏡の中の私は不安そうな表情で口角が下がっていて可愛くない。
笑顔って・・・どうするんだっけ?
笑い方を忘れてしまった自分に落胆する。
もう夜遅いけど外の空気を吸ってこよう。
1人で部屋に篭っていると、どうしても思考が暗くなってしまうから。
雨の音が聞こえなくなったので止んだのを期待して、冷たい夜空の下へ出向くことにした。