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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第10章 あなたは誰?




「ミモザさん!何見てるんですかぁ?」

「っ・・・・・・え、と・・・・・・」

「あっ!ジンさんだ!ジンさ〜ん、お身体冷えますよー!」



穏やかな時間はギムレットによって終わりを告げた。


彼女の声でこちらを向いたジンと目が合い、ドクン・・・と胸が熱くなる。



しかし・・・私たちを見た彼は深い溜息を吐き、病室にいる時のような顰めっ面になってしまった。


"私たち"なのか・・・"私"だけ、なのか。


せっかく皺の寄っていない顔を見られたのに・・・。




「ジンさん!私、完治しましたよ〜!ジンさんが助けてくださったお陰ですっ」


「だから知らねーって言ってるだろ。俺はお前を助けた覚えはない」


「えー・・・早く思い出してくださいよぉ。お姫様抱っこしてくれたんですよ?ふふっ」



ジンの顔を覗き込みながらキラキラした瞳で話している。


記憶喪失になってから、ギムレットはいつ彼の前に顔を出していたのだろう・・・。


心なしかジンの態度が、私よりもギムレットに対しての方が砕けているように感じて。


やるせない気持ちになった。






「ミモザさん。私たち先に戻ってますね!」

「え・・・・・・」


私たちって・・・・・・まだ私からジンを奪う気なのだろうか。



「どちらも必要ない。1人で戻れる」

「もー・・・そんなこと言わないでくださいよぉ」



この1ヶ月間、毎日のように言われる・・・

「必要ない」


まともに話を聞いてもらえないから、記憶を失う前の私たちの関係も話せなくて。


1年間の記憶が抜けていることはウォッカが伝えたらしいが、特に戸惑った様子は見られなかった。




「ミモザさん。ジンさんはもう忘れてしまったようですし・・・・・・私、アプローチさせていただきますね?」


「・・・何言ってるの・・・ジンには近付かないで。すぐに・・・思い出すはずだから・・・」


「あははっ!ミモザさんこそ何言ってるんですか〜。もう、"必要ない"んですよ?ミモザさんは私と同じ立場になったんです。遠慮しません」





遠慮なんて、したことないじゃない・・・と思ったが、悔しいけど言い返すことができなかった。


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