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【名探偵コナン】色あせぬ恋【R18】

第9章 渡さない ※



♦︎♥︎♦︎


「兄貴、俺が医務室まで運びますぜ」

「必要ない。扉を開けておけ」



先程のようにギムレットを横抱きにしたジンは、私に何も言わず行ってしまった。


あぁ・・・最後までジンが運ぶんだ。

朝はギムレットのことを毛嫌いしていたが、弱っている彼女を見たら助けてあげたくなったのだろうか。




「・・・ミモザ、大丈夫か?」

「あ・・・はい!協力してくださってありがとうございました」


心配そうな眼差しのウォッカに目頭が熱くなる。


こんな所で泣くな。

子どもではないのだから。


でも・・・ギムレットを無事に助け出し、ホッとして涙腺が緩んだ・・・と言い訳ができるかもしれない。


ジンがあの子に触れることは絶対にない・・・と、何故自惚れていたのだろう。


涙が溢れないよう、唇を強く噛み締めた。






「お疲れさまです」

「・・・・・・!」


──バーボン。

彼と別れてから会わずに過ごしてきたのに、よりによって気分が落ちている時に・・・。


「ギムレットにスタッフの男について聞きました。あなたも充分気を付けてくださいね」

「・・・探し出して捕まえます。これ以上被害に遭ったらモデルの任務ができなくなりますから」



──なんて。

もうギムレットのことなどこれっぽっちも心配していないのに。

また同じような目に遭って怪我をして・・・ジンが彼女を助ける姿なんて見たくない。


そんな醜い理由は自分の中に押し込んで、絶対に捕まえる。




「あなたが被害に遭っても困ります。僕も行きますよ」


久々のデートを楽しみにしているかのように微笑んでいるバーボン。

ジンにバレたらどうなるか考えていないのだろうか。


「バーボン、兄貴に殺されたくなけりゃミモザに近付くなよ」


・・・ほら。ウォッカにも言われている。

「バーボン」と名前を出しただけで恐ろしい程の殺気なのだから。

しかし・・・ジンに反抗してしまったから「勝手にしろ」と放り出される可能性も否めない。




そんなの・・・────無理だ。

殺されるよりも辛い。





「兄貴から医務室まで来いと呼ばれたぞ」





まだ怒っているかな。

嫉妬をした私が悪いのだから仕方ない。

誠心誠意、謝ろう。


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