第9章 渡さない ※
「ジン・・・!」
ジンの温もりは麻薬のようだ。
離れなければいけないと頭ではわかっていても、身体は素直に彼を求めていて言うことを聞かない。
強引だが優しく触れる唇に酔いしれてしまい・・・・・・着信のバイブ音が遠ざかっていく──
「ん、ふ・・・はぁ・・・・・・」
「・・・着信、切れちまったな」
フッ・・・と意地の悪い顔で笑うジン。
鳴り続けていた音が消え、画面には"不在着信"と表示されていた。
ジンと一緒にいると、組織やNOCなんてどうでもよくなってくる。
全てを捨て、2人で生きていけたら・・・──
こんな我儘を言ってもジンなら叶えてくれるだろう・・・と、今なら自信を持てる。
実際に口には出せないけど・・・
夢を見るだけなら・・・いいよね・・・?
独占欲・・・執着心・・・
次から次へと溢れてくる気持ちを自分だけでは消化できなくて。
ジンに残した顎裏の印がなくならないように、上から思い切り強く吸い付いた。