第4章 Virgin Complex【ミケ】*
ロリコン ───何だっただろうか。聞いた事はある気がする。概要なんぞ殆ど知らない。
それ程この国では馴染みの少ない言葉だった。
俺は持ち込んでいたノートパソコンを開いて、ロリコンについて検索した。
「あぁ、ぺドフィリアか。」
俺が調べ終わるよりも先に、エルヴィンが返答した。
なるほど、小児性愛みたいなものか。
ん?いやちょっと待て。それで処女体験キットは法律に反してしまうのではないだろうか。
「そう!なんでも、ジャパンではぺドを嗜好とした男性が多いみたいなんだ。そして処女厨という言葉が生まれるほど、処女に拘りを持つ人達も多い。だけどそんな人達を対象にした玩具はあまり作られていない。だから、リアリティを追求した玩具を作ればジャパンで爆売れすると思うんだよね!」
少々興奮した様子のハンジは、こうなると止められない。
あまり作られていない商品を発売するのは悪い線ではない。ただし需要があれば、の話だが。
しかし、何故ジャパンはその嗜好があるにも関わらず玩具をあまり作ってはいないのか。彼女はそこを詳しく調べられているのだろうか。
俺はパソコンでジャパンの通販サイトを調べあげた。
彼女の言う通り、幾つかはその類の玩具は商品化されている。
それならこれで供給が足りているのではないのだろうか。
彼女の案を否定したい訳ではないが、ここはもっと根拠を聞きたい。
「ハンジ。いまジャパンの通販サイトを調べてみたが、やはり処女を売りにしている玩具は幾つかある。これは、この商品で十分供給が足りていると考えられないか。」
俺の問いかけに、「確かにな。」と頷くリヴァイ。
しかしハンジの口角がニヤリと上がった。
「良い質問だねミケ。その調査をする為に私とモブリットは昨日までの二週間、ジャパンへと潜入調査に行っていたんだよ!」
机をバシン!と叩いてハンジは最高潮を表した。
二週間も部署を空けていたのかと思ったが、エルヴィンが許可を出しているだろうから決して違反ではない。
言語も通じない異国で聞きこみ調査とは、随分頑張ったものだ。見直したぞハンジ。
「ごめん、大きな音立てちゃった…」
先程の衝撃で床に散らばった書類をモブリットが急いでかき集める。
正気を取り戻した彼女の瞳が俺たちの方を向く。
「君たちは…処女を抱いたことはあるかい?」