第4章 Virgin Complex【ミケ】*
「お気遣いありがとうございます、ミケ課長。ですが、会社の為に捧げられるなら社員として誇らしいんです。だからこの企画をやらせて下さい。」
「…」
彼女の肩に触れている手を離すことができなかった。凛とした表情で俺を見上げるその瞳に目を奪われたからだ。
どんな風に企画が進んでいくかも分からないはずなのに、まるで俺を安心させるかのように微笑みかける。
「の決意は聞いたかい?良いよね、エルヴィン。」
「ああ。君は勇敢な社員だ。心より尊敬する。」
エルヴィンから承諾がおりた。これより本格的に企画実行に移る。
から不安そうな匂いは一切感じられなくなった。
本当に心の強い女性だと思う。だがこの過程を共有されている身で、素直にじゃあ頑張ってくれと言えるほど冷酷にはなれなかった。せめて企画進行中の間、彼女をどうにか気にかけてやりたい。そう心に決めた。
「それじゃあ、担当を決めよう。のプライバシー保護の為、この企画は今ここにいる私たちだけで進めよう。」
「了解だ、ハンジ。」
「一番重要なの身体の計測担当だけど、ミケにやってもらう事にするよ。」
─── ん?
今、ハンジは俺に何を割り振った?
身体の計測担当と言ったのは聞こえた。それは ─の身体を計測する係の事だろうか。計測、それはどのように?待て、俺には彼女のバージンを測る係という推測しかできない。
いや、まさかな。他部署の俺がそんな事をして良いはずがない。詳しく何をするのか聞こうじゃないか。
俺が質問しようとした矢先、リヴァイが口を開いた。
「おいクソメガネ。それは何をする担当だ。」
「なにって、の処女を奪う最も重要な担当だよ。」
─ 嗚呼、なんてことだ。
如何わしい想像を実現する事になるらしい。
はそれで良いのか?あまり親交のない俺だぞ?年齢も十歳は離れているし、なにせ彼女の意見が一切聞けていない。
だって相手が俺だなんて想像してなかったはずだ。せめて相手は選ばせてやりたい。
「ハンジ、なぜ俺なんだ?…がそう言ったのか?」
決して拒否している訳じゃない。俺は独身で彼女もいない。だから寧ろ─と思っている。勘違いされないように慎重に聞いた。