第2章 お悩み相談室【ハンジ】*
翌日の午前八時。
昨夜モブリットとと共に作成した書類を無事にエルヴィンの元へ提出することができた。
団長室の前の廊下を背伸びしながら歩く。
ふと中庭を見ると、食堂からゾロゾロと出ていく兵士達の姿が見えた。
私も今日は調整日だ。少し遅めの朝食でもとろうかな。
はもう薬飲んだかな。
今頃、数分置きに来る尿意とその量に驚いてるかな。
朝食後に様子を見に行ってみよう。決して下心なんて無いよ?
私はモブリットに頼まれたんだ。
─ コンコン
朝食後、私はの部屋を訪れた。
班長の彼女に割り振られた一人部屋は、風呂トイレは備わっていない。その為階ごとにある共有の物を使うようになっている。
ノックをしても返事がない。
この階のトイレを確認したが、使用中になっている個室も無い。
そうか、じゃあ ──
*
「うう…想像以上の効果だ……」
朝食後、利尿薬を飲んだ私は同じ階の兵士達に頻繁にトイレに立つ事を悟られたくなくて人目を避けられる座学室に来ていた。
ここは本部東棟最奥。
多くの兵士が調整日である今日、自主練・自習で訓練場や図書館を利用する者はいたとしても、わざわざ座学室を利用する者はいないだろうという考えのもとでここに足を運んだ。
そしてこの教室の目の前はトイレだ。
人が来ないのを良いことに襲い来る尿意に抗うことなくさっきから何度も席を立っている。
本当に凄い威力。
もう出てくる液に色も臭いも無い。ただの身体の水分だ。
これで1ヶ月ほど続いた浮腫ともおさらばだ。
とその時、入口に人影が現れた。
「やっと見つけたよ、。座学室を選ぶなんて、なかなか頭を使ったね。」
「ハンジさん…!お疲れ様です。どうかされましたか?」
現れたのはハンジ分隊長だった。私は起立し敬礼で挨拶をする。
ハンジ分隊長は「下ろして」と言いながら私の元へ近づく。
「昨日の書類、さっき無事にエルヴィンへ届けられたよ。ありがとうね、。」
「光栄です、ハンジさん。」
ニコリと微笑むハンジ分隊長。
私が頑張れるのは、貴方のその笑顔のおかげですよ…なんて、言えないけどね。
ただ、こんな話をしている間にも尿意は待ってくれない。
利尿薬をくれた分隊長だから、説明してトイレに行かせてもらおう。