第12章 2回目のvsイレイザーヘッド※微
全員バスから降りて、イレイザーヘッドの前に並んでいた。
職場体験に行かない私はイレイザーヘッド横に立った。
私以外の生徒はシルバーのアタッシュケースを持っている。あの中にコスチュームが入ってるのだろうか?
それにしても、やはり体育祭全国中継しただけあってか通行人がチラチラ振り返りこちらを見ている。
雄英の1-Aは人気だな。
「全員コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ、着用禁止の身だ。落としたりするなよ。」
「はーい!!!」
「伸ばすな、はい、だ。芦戸」
「はい...」
「くれぐれも、体験先のヒーローに失礼のないように。じゃあ行け」
はい!と全員が返事をし各々の場所へ向かっていった。
「、俺たちも行くぞ。」
私は縦に首を振りイレイザーヘッドへ続き再びバスに乗り込んだ。
行きとは違って、私とイレイザーヘッド、運転手しか乗ってないバスはシンと静まり返っていた。
イレイザーヘッドとは近すぎず、遠すぎず、距離を保って椅子に座った。
「」
『はい。』
何を考えているのか分からない、次に何を発するのか決して予測させないそのトーンが私の焦燥感を煽る。
「お前の個性についてだが......」
個性、そう聞いて思わず固唾を呑んだ
「簡単なデータを見させてもらった。はっきり言わせてもらう。校長は認めているが、お前の個性、スパイアイ。その力じゃヒーローにはなれないよ。これから行うテストで合格ラインまで満たなかった場合、除籍処分とする。」
『はあ。』
ため息混じりの相槌をうった。
校長先生が認めてくれてるのに......。
あなたは校長先生よりも偉いんですか?と言いたくなったのは我慢した。
恐らく簡単なデータというのは、ドクターが先に送った私のプロフィールかなんかだろう。
融通利かせて適当な事書いてくれれば良かったのに。
除籍処分、別にいいやと思った。弔くんには正直に除籍処分で追い出されたと言えばいいし。
けどお前は弱い、そう馬鹿にされてる気がして、このまま除籍処分にされるのはイレイザーヘッドの思うつぼで嫌だった。
はぁ...。
ヒーローってのはつくづく私の神経逆撫でしてくるな。
それから目的地に着くまでの間私とイレイザーヘッドは一言も喋らなかった。