第11章 自己紹介
「やぁ!君がその新しい子だね、...ええっと...名前は...」
『.........』
「ええっと...」
「ほら、挨拶....」
オールマイトとイレイザーヘッドが困惑した表情で私を見ていた。
『.........』
側から見たら私とオールマイト、イレイザーヘッドの間には異様な空気が張り詰めているんだと思う。
我ながら、雄英生徒、としての第一印象は最悪だと思った。きっとここで口を開けば私は激昂に駆られて勢いでこの2人に襲い掛かってしまう。
この2人相手に勝算が全く無いと分かっているから何もできず、ただただ憎しみを込めた目でオールマイトをじっと見る事しかできなかった。
「ええっと...シャイガール?なのかなぁ?ハハハッ...」
「はぁ...すみません...彼女はと──」
『わたしは.....!...せんせっ.....を......ッ先生...の....ッ』
落ち着け、落ち着けと私の中の私が言っているが、動いた口は止まらない。
その瞬間、頭を撫でてくれる先生の優しい手と仏のような顔で笑うあの笑顔を思い出した。
この男が...オールマイトが憎い...
息をしているはずなのに苦しい。どんどん息が上がってくる。喉を鳴らしながら息を吸う音が自分の脳に響いた。
「おい......!」
「少女?だいじょ──」
キーンコーンカーンコーン......
『ハッ.....!』
けたたましいチャイムの音が私をヴィランから雄英生徒へと引き戻していく。
「あぁ......オールマイトさん、すみません。ホームルームの時間なんで、これで......」
『......取り乱してごめんなさいオールマイト先生。私もオールマイト先生みたいなヒーローになりたいなって!』
先生の笑顔を思い出し、無理矢理に笑ってそう言った。
果たして私は今ちゃんと笑えているだろうか?
「ハハッ!そうかそうか!期待してるぞ少女!今日からここが───」
なんとなくオールマイトのその続きが聞きたくなくて、オールマイトと被せるようにして、心の中で呟く
「君のヒーローアカデミアだ!」
私のヴィランアカデミアだ、と。